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「気にするな。一般市民を救うのも俺達の役目だ。」 さいたまなRPGより出演。 さいたま市に勤務しているさいたま市隊の隊員で元マフィアのメンバー。 モラストルとは同じ職場仲間でもある。 刀を扱うことができ、特性により通常攻撃は先制攻撃可。 回避率も上昇している。 特技によって自身の攻撃力を強化することも出来るので、スピードアタッカーとして十分に活躍することが出来るキャラである。 ネームレス(相棒)、モラストルと共に愛生会をあぼーんする任務を受ける。 物事はハッキリ言うタイプで、怪しいと感じた事、文句、自分の気持ちなどもしっかり言う。 まっすぐな姿勢をした性格なのであろう。 原作では、ムンゾ城制圧任務に遅れてやって来る。(その時、城の大体半分ぐらい進んでいる) 残った敵相手に自分の実力をたっぷり見せてやる、と余裕気に言ってることから物事を少し気楽に考えている部分もあるのかもしれない。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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《クロス×オーバー編(へん)/Crossover》 どんな者にだって、忘れられない瞬間がある 永遠の如く残響する瞬間――――思い出が、ある 一度過ぎた時間は取り戻せず、変わり果てた空間も決して元に戻ることはない だからいつだって、一方通行の現実に苛まれる日々が彼らの心を蝕んでいく もしもすべてが変えられるなら、その願いが叶うのなら…たったひとつだけ、取り戻したいものがある 時空を越えて、今 繋がる物語――――― 紡がれる新時代で すべてがひとつになる――――― ~主題歌~ ♪オープンング♪ BUMP OF CHICKEN『カルマ』 歌詞:こちら ♪エンディング♪ ダイアナガーネット『Spinning World』 歌詞はこちら ~物語の概要~ 本編は現在と過去の二構成からなる物語です。 それぞれに登場人物と話の内容が異なります。 ~登場人物~ クロス×オーバー編 登場人物を参照 ~過去ログ~ 現在 第一話「英雄回帰」 第二話「覚悟」 第三話「怪鳥と不死鳥」 第四話「影の主」 第五話「名を奪う者」 過去 第一話「最強にして最凶のZ」 第二話「動き出した脅威」 第三話「英雄を継ぎし者達」 ~用語~ カコログ 「死霊の山」として伝説になった聖地。 表向きには宝石が散りばめられた宝の山としての外観をしているが(しかしその宝石は一度抜き取ると枯渇し消滅してしまう)、 山の何処かに太古の洞窟が存在し、その奥には過去へ回帰することのできる扉がある。 扉の開放には『鍵』が必要とされているが… *注意事項~ 1.このドラマは≪現在編≫と≪過去編≫の2部構成になっています。 2.記載された過去ログは、ドラマの進行に影響をきたさないために各ユーザーの許可なく修正されることがあります。 3.このドラマは誰でも自由参加できます(上記「2」にもあるように、過去ログにキャラが記載されないこともあります)。 4.今後注意事項が増える、変更する可能性があります。 関連ページ 全てを振り切るクリアマインド 全てを振り切るラストバレット 歴史 其の六へ戻る コメント とやかく語るつもりはないっすけど、主題歌であるBUMP OF CHICKENの『カルマ』は クロス×オーバー編の物語に相応しいために引用しました。 知らない人はいないほどに有名すぎる曲ですが、今一度歌詞を確認してみてはいかがでしょうか? -- (黒い羊) 2015-06-09 23 27 10 名前 コメント すべてのコメントを見る
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Loveより登場する(建前上は)警察組織。 しかしその能力や装備や悪行の実態はもはや軍隊というかアヒャルノフの私兵そのものであった。 ヴァンガード(=Vanguard)とは英語で「前衛」とか「尖兵」といった意味である。 ブラックホールによって飛ばされたうえ、一夜にして隊員全員がゾンビにされた哀れな武装組織。 一般人や学生やドヴァ帝国兵など何種類か存在するゾンビのうちヴァンガードのゾンビは特に経験値が多いためギコックスによく吹っ飛ばされる。 おまけに組織の長は初登場シーンで実力を出す前に瞬殺される役である。 これはひどい。 更にそのうちの一人であるフサリオは間違われて捕われる名有りモブである。 やはりひどい。 また、一部のヴァンガードは別世界に飛ばされて装備を売りながら地味に暮らしている。 ひどい。 せめてもの救いはまだジョエル達本人(複製でない方)が出ていないことか。 どうでもいいがジョアルとジョエルは混ざりやすいと思う。 ……とか言ってたら運命代行者と組むことで彼らの兵として盤石の地盤を固めたようだ。 本物のアヒャルノフ代表はモララームと結託しフロイトの洗脳を行ったり、複製ジョエルや複製ユリアンを作ったりしている。 これで彼らの千年王国が築かれるのだろう。 なおどう見ても悪役。ひどい。 ちなみに前回の最終戦争でも被害を被りながらもメンバーが生き延びたようだ。 それが今に繋がっているらしい。 彼らにその記憶はないが。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「確かに、俺は死神だ・・・だが、それは罪を重ねた悪人に対しての話だがな。一般的に人々は俺のことをこう呼ぶ・・・『仮面ライダースカル』。」 そう言って、変身を解除する仮面ライダースカル。 風に乗って剥がれ落ちる装甲の中からは、白い背広を着たひとりの男が立っていた。 「あんたは・・・いや、あなたは!」 「照井さん、あの男を知ってるんですか?!」 「ああ。所長の父親で・・・確か、名前は・・・。」 「鳴海 壮吉だ。」 「・・・いや、待て!左の話によれば、あなたは死んだはずでは・・・?」 「・・・え?」 「そう、確かに俺は死んだ。だから、この世界にいるんだよ。」 「・・・じゃあ・・・俺たちのいる世界は・・・。」 「そう、お前さんの予想どおり『死の世界』だ。」 鳴海 壮吉の言葉を聞き、愕然とする照井と上条。 だが、一方の鳴海は涼しそうな顔をしていた。 「そう早とちりするなよ、若人。」 「・・・え?」 「ここは『死の世界』・・・と言っても、まだ地獄の1丁目。つまり、生と死の境目みたいなところだ。」 「・・・じゃあ、まだ生き返れる可能性もあるんですね?!」 嬉しそうな顔をする上条。 「ああ・・・だが。」 「だが?」 「・・・さっきも言ったはずだ。俺は罪を重ねた者への『死神』だとな。」 「罪・・・?」 「これを見な。」 そう言って、指でパチンという大きな音を鳴らす鳴海。 すると、漆黒の空にひとつのヴィジョンが映し出された。 照井と上条の目に飛び込む光景。 それは、傷だらけになりながらもトライアル・ドーパントと戦う御坂 「あれは・・・井坂!それに御坂!!」 「ビリビリの奴、ひとりで戦ってるのか?!」 「これが・・・お前たちの『罪』だ。」 冷淡に言う鳴海。 「俺たちの・・・『罪』?」 「ああ、彼女はどうしてひとりで戦っていると思う?」 「ひとり・・・?待ってくれ!ビリビリには風紀委員の仲間がいるはずだ!それなのにどうしてひとりなんだ?!」 「彼女が望んだんだ・・・ひとりでの戦いをな。」 「・・・どういうことだ?」 「あの子は今、復讐の心のみであのドーパントと戦っている。悪と戦う仮面ライダーという存在、そして自らが愛する男という存在、 これを2つ失った悲しみや怒りによって生み出された心のみでな・・・。」 再び目に入る、トライアル・ドーパントと御坂との戦いが映し出されたヴィジョン。 そこには、トライアル・ドーパントの高速移動による四方八方から繰り出されるキックによってサンドバック状態と化しつつも、 気力のみで立ち上がりファイティングポーズをとろうとする御坂の姿があった。 「分かるか?あの子は刺し違えてでもあのドーパントを倒すつもりだ・・・いや、自殺しに行ってるが近いかもしれないな。 もう、自分の愛する者を奪われないために・・・そして、自分が二度と悲しまないために。」 「・・・ビリビリ!止めるんだ!!」 思わず叫ぶ上条。 「・・・そしてもうひとつ。」 そう言うと、鳴海は再び指を鳴らす。 現われるもうひとつのヴィジョン。 そこには、リボルギャリーのドックにてフィリップとともに何かを作っている禁書の姿であった。 「禁書!」 ヴィジョンに映った禁書の顔を見る照井。 その顔は、寝る間も惜しんで作業に徹していたのか、生気の薄れた顔となっていた。 だが、そこには何かを信じて待っているかのような希望も感じられるのであった。 「あの子はフィリップとともに、あのドーパントを倒すための武器を作っているそうだ。細かいところに関しては俺も不明だがな。」 「禁書・・・。」 三度、指を鳴らす鳴海。 すると、その上空のふたつのヴィジョンが消え、彼らの周囲は再び闇の世界へと戻った。 「・・・それじゃあ、ここで最後の選択だ。返答によってはお前たちを死の世界へ連れていくから覚悟しな。」 そう言って、鳴海はガイアメモリを構えた。 SKULL!! 「変身。」 鳴海の腰に巻かれたロストドライバーに挿入されるスカルのメモリ。 そして、紫の光が包み込み、再び彼を仮面ライダースカルの姿へと変えるのであった。 「さあ・・・お前の罪を数えろ。」 照井と上条を指差すスカル。 これに対し、ふたりはゆっくりと答えた。 「俺の罪・・・それは、悪の手から人々の心を守れなかっただけでなく、さらにはその命までの危険にさらそうとした罪!」 「2つ目・・・帰ってくること、そして悪を倒すことを願っている人がいるにもかかわらず、こんな闇の世界に留まっている罪!!」 「そして・・・最後の罪・・・。」 「それは・・・。」 「「正義が悪に負けた罪!!!」」 漆黒の世界に照井と上条の大きな声が響き渡った。 「・・・。」 無言でスカルマグナムを取り出し、スカルのメモリを挿入するスカル。 SKULL!MAXIMUM DRIVE!! 「何をするつもりだ?!」 「こうするのさ・・・。」 そう言って、照井たちに向けてギルティシュートを放つスカル。 だが、その弾丸はふたりの間を通り過ぎ、そして漆黒の壁に衝突した。 砕け散る壁、そしてそこからは神々しいほどの光があふれていた。 「これは・・・。」 「まあ、点数としては70点だが・・・ある程度自分の罪が分かってるから良しとしよう。」 「鳴海さん・・・いや、仮面ライダースカル!」 「その光の道を抜ければ現世に戻れる。そして・・・自分たちの言った罪を十分に償ってこい! またここに戻ってきたら承知しないからな!!」 「ありがとうございます!!」 そう言って、駆けだす上条。 続いて照井も駆けだそうとしたその時だった。 「照井 竜・・・と言ったな?」 「え・・・あ・・・はい。」 「・・・いや、なんでもねぇ。」 「・・・?」 「照井さん!早く行きましょう!!」 「あ・・・ああ!!」 そう言って、光の道を駆けていく照井と上条。 そして、崩れた壁は再生し、スカルの周囲は再び漆黒の闇と化した。 「照井 竜・・・か。」 つぶやくスカル・・・いや、鳴海 壮吉。 「まるで若い頃の俺を見てるようだ。だからこそ、亜希子が惚れたのかもしれないな・・・。 頼んだぜ、仮面ライダーアクセル!上条 当麻!!学園都市と風都の平和を、そして家族としての未来を!!!」 「まだ戦おうというのですか?虫けらの存在で・・・。」 一方、トライアル・ドーパントと御坂の戦いはまだ続いていた。 トライアル・ドーパントの攻撃を受け続け、立ち上がるのもままならない御坂。 だが、彼女の闘志は自身を無理やりにでも立たせるのであった。 「いやはや・・・医学、生命、ガイアメモリとこれまで色々なことを研究し自分なりに理解してきた私ですが、 未だに君たち虫けらの考えや行動というのが理解出来ませんねぇ・・・。」 そんな時、御坂がポツリという。 「・・・とう・・・ま・・・ライ・・・ダー・・・。」 「・・・ん?」 「もう・・・失い・・・たくない・・・。」 涙をこぼしながらつぶやく御坂。 だが、その言葉は意識を失いかけながらも立ち上がろうとする心の叫びだったのかもしれない。 「そうですか・・・では、失うことのないようあなたも地獄に送ってあげましょう。仮面ライダーが遺した武器によってね!」 そう言って、アクセルから奪ったエンジンブレードを振りかざし、御坂に襲いかかるトライアル・ドーパント。 しかし、限界まで来ていた御坂に動く力など無く、エンジンブレードを前に立ち尽くすのみであった。 「これで・・・最後です!!」 御坂に振り下ろされたエンジンブレード。 だが、その刃が彼女を襲う直前、何者かが立ちふさがり、刃の進行を止めた。 「何?!・・・!!」 「残念だったな、井坂。」 トライアル・ドーパントの前に立ち、真剣白羽取りをする赤き装甲の男・・・それは仮面ライダーアクセル=照井 竜であった。 「貴様・・・生きていたのか?!」 「『貴様』?残念ながら俺も生きてるぜ!!」 トライアル・ドーパントのもとへ現われるもうひとりの影。 その影は右手でトライアル・ドーパントの腕を握ると、何かを送り込むかのように右手に力を込めるのであった。 「な・・・う・・・腕の力が・・・?!」 「だから言っただろ?<幻想殺し>をなめるな・・・ってね。」 その声の主は上条 当麻であった。 <幻想殺し>によるエネルギー吸収によって腕の力を失うトライアル・ドーパント。 そして、ついにはエンジンブレードを支えることが出来ず、そのまま落とすのであった。 「今だ!」 即座に反応に、地面に落ちたエンジンブレードを拾い上げるアクセル。 そしてトライアル・ドーパントに連続して切りかかり、相手との間合いを取るのであった。 倒れるトライアル・ドーパント。 と同時に御坂は目を覚まし、現在の状況に気づくのであった。 「・・・あれ・・・私・・・?!」 「ビリビリ、大丈夫か?!」 駆け寄る上条。 「上条・・・。」 「ビリビリ・・・心配かけ・・・?!」 「あんたねぇ・・・この・・・大馬鹿ヤロォおおおおお!!」 御坂のもうひとつの能力である<電撃使い(エレクトロマスター)>が発動、膨大な電気エネルギーが上条の体に流れ、 彼の体はまるでギャグ漫画のような真っ黒焦げのアフロヘアーとなってしまうのだった。 「ちょ・・・待てよ!助けに来て、この仕打ちは無いだろう!!もう一回、地獄の一丁目に行ったら問答無用で地獄行きだってぇのに!!!」 「何をワケの分からないこと言ってるのよ!こっちはどんだけ・・・どんだけ・・・心配したと思ってるのよぉ!!」 大声をあげる御坂。 と同時に、心情が高ぶり過ぎたためか、彼女は子供のように泣き出してしまうのであった。 「・・・ったく。上条、何やってるんだよ。」 「え・・・俺のせいですか?!」 「何言ってるのよ!ぜぇ~んぶ、アンタのせいなんだから!!だから・・・明日はちゃんと映画に連れていくなり食事をおごるなり・・・ とにかく私のしもべとして働きなさいよ!!!」 「せっかく現世に帰ってきたのに・・・不幸だ・・・。」 「何が不幸だ!それがレディに対して言うセリフか!!」 「やれやれ・・・!おい、上条の処遇についてはあいつを倒してから話したほうが良さそうだぞ。」 そう言って、エンジンブレードを構えるアクセル。 その目線の先には、先ほどの攻撃でダメージを受けながらも立ち上がるトライアル・ドーパントの姿があった。 「おのれ・・・貴様ら虫けらどもにT2ガイアメモリの力が負けるはずがない!」 怒りの声をあげるトライアル・ドーパント。 これに対し上条が言う。 「あんたは重大な勘違いに気づいてないようだな。」 「勘違い・・・だと?」 「確かに俺らはあんたから見れば虫けらだ。力も能力もあんたに劣っている。だが・・・それは見方のひとつでしかない。」 「見方・・・?」 「そう、あんたは子供の頃に習わなかったか?物事というものはひとつの目線で捕えるんじゃなく、色々な目線で見つめ、 総合的に考えていく・・・ってね。あんたは『力』や『能力』といった点からは優秀だ。だが・・・それ以外は0点だ。 人の心を理解出来ず、命という存在を軽視するあんたはな!」 「Lv.0の分際でベラベラと・・・言いたいことはそれだけか?!」 「俺もあるぜ。」 アクセルが上条の隣りに立つ。 そして、トライアル・ドーパントを指差して言い放った。 「お前の罪を・・・数えろ。」 「罪だと?フン、私に罪など無い! 君の家族の命を奪ったのも、学園都市の者を襲撃したのも私の最強への道の実験台でしかないのだからな!!」 「・・・0点。」 「何だと?!」 「もう一度言ってやる。井坂、お前の全てが0点・・・いや、それ以下だ。」 「貴様ら、虫けらの分際で・・・私にそんな減らず口が叩けないようにしてやる!!」 怒りが頂点に達するトライアル・ドーパント。 この言葉に上条とアクセルが構える。 「その幻想・・・。」 「俺たちが・・・。」 「「振り切るぜ!!」」 怒りが頂点に達し、マキシマムドライブ状態となるトライアル・ドーパント。 これに対し、上条が後ろの御坂に向かって叫ぶ。 「ビリビリ!俺たちに向かって<超電磁砲>を放て!!それも生半可なもんじゃねぇ・・・お前の全身全霊を込めた<超・超電磁砲>をな!!!」 「はぁ?!何、そのネーミング!しかも、なんで?!」 「俺たちに質問するなっ!!」 叫ぶアクセル。 「だぁあああああ!!こうなったら、ヤケクソでその・・・えぇっと・・・ <超・ウルトラ・スーパー・ミラクル・ハイパー・超電磁砲>とやらをお見舞いしてやるから覚悟しなさいよ!!!」 「おい、ビリビリ!名前が盛大に間違・・・ぅおっ?!」 ツッコミを入れようと上条が後ろを見ると、そこには今までにないほどの電気エネルギーを解放していた御坂の姿があった。 彼女の両腕に集められる多量の電気エネルギー。 そして、それらは手のひらという小さな空間に集められることによって凝縮され、プラズマエネルギーと化する。 だが、今までの<超電磁砲>に使っていたような電気エネルギーと違い、 莫大な熱量を持ったプラズマエネルギーの制御に御坂は苦戦を強いられていた。 「くっ・・・行くわよ!!」 叫ぶ御坂。 「OK!・・・照井さん、行きましょう!!」 「ああ!!」 返事をするアクセル。 そして、自身のアクセルドライバーに挿されたアクセル・メモリを抜くと、エンジン・メモリへと差し替えるのであった。 ENGINE!MAXIMUM DRIVE!! ガイアウィスパーが流れるや否や、バイクモードへと変形するアクセル。 一方、上条は変形したアクセルにまたがり、再度御坂に向かって叫んだ。 「ビリビリ!今だ!!」 「どぉりやぁあああああ!!」 御坂の手から解放されるプラズマエネルギー。 そのエネルギーの塊は流星の尾のような光を描きながら、一直線にアクセルたちに向かっていった。 「上条、行くぞ!!」 アクセルドライバーのアクセルを勢いよく引き、飛び上がるアクセル。 その体は宙に浮き、そしてタイミングを合わせたようにプラズマエネルギーと合体、 光り輝くバイクとなってトライアル・ドーパントに向かっていくのだった。 「うぉおおおおお!!」 高速移動で一直線に襲いかかるトライアル・ドーパント。 同じく、敵に向かって一直線に突撃していくアクセル。 磁石のように引きあうふたつはやがて激突する・・・かと思われた。 だが・・・。 「・・・残念ですが、ここは勝ちに行かせてもらいますよ!!」 そう言って、今まで進んできた直線コースから突如として横に逸れるトライアル・ドーパント。 一方のアクセルは敵の突然の行動に対応することが出来ず、そのままトライアル・ドーパントの横を通り過ぎてしまうのであった。 「私を『0点』呼ばわりしたワリには、こんな猪突猛進な攻撃とは・・・やはり君たちは・・・。」 「いや、あんたは0点だよ。この攻撃をただの体当たりとしか思っていない限りはな!」 叫ぶ上条。 すると、まるでサーフボードの上に立つかのようにバランスをとって立ち上がるのであった。 「・・・何のつもりです?」 「お前を倒すつもりだぁ!!」 右手の<幻想殺し>に力を込める上条。 そして極限まで力を溜めると、その手をまるでテニスのラケットのごとく勢いよく振るのであった。 右手から放たれる<幻想殺し>のエネルギー。 それは手の動きをなぞるかのようにカーブしたエネルギー体となってアクセルの前に現われ、 そしてアクセルの軌道を再度トライアル・ドーパントに向けるのであった。 「何っ?!ならば!!」 再び一直線に向かってくるアクセルに対し、高速移動で避けるトライアル・ドーパント。 だが、今度は<幻想殺し>の力を使うことなくアクセルはUターン、三度トライアル・ドーパントへの攻撃を仕掛けるのであった。 「これはいったい?!」 「<超電磁砲>・・・それはビリビリらしい『一直線にしか進まない』攻撃技だ。だから、あんたはこの攻撃も一直線にしか来ないと考えたんだろう? そこで、俺と照井さんはその考えを逆手に取った作戦を採ることにしたんだ。<幻想殺し>で<超電磁砲>の特性である『一直線にしか進まない』性質を消し、 お前の高速移動に対抗した攻撃を・・・そして、固定概念に縛られたお前の動揺を誘うという作戦をな!」 上条の言うとおり動揺していたため、ついにアクセルの体当たりを受けるトライアル・ドーパント。 一方のアクセルは再度Uターンを行い、体当たりを行なう。 繰り返される、アクセルの攻撃。 その移動によって残された光の軌道は∞(無限)の文字を描き、トライアル・ドーパントにダメージを与えていく。 そして何度目かの攻撃の時、光の軌道を残したまま、アクセルがバイクフォームを解除して現われる。 ACCEL!MAXIMUM DRIVE!! アクセルドライバーに刺さっていたエンジン・メモリを抜き、再度アクセル・メモリへと差し替えるアクセル。 そして、アクセル・メモリのマキシマムドライブを発動させると、エンジンブレードを構えてトライアル・ドーパントを睨むのであった。 アクセルの脳裏に浮かぶ光景。 それは『笑顔』であった。 父、母、妹、鳴海 亜希子、上条、御坂、白井、そして・・・禁書。 全ての笑顔を守るため・・・仮面ライダーとして戦い続けるため、アクセルは自らの闘志を燃やした! 「・・・ぅおぉおおおおお!!」 闘志同様、アクセル・メモリの力によって燃え上がる体。 その炎はエンジンブレードへと集約され、エンジンブレードを炎の刀へと作り替えた。 「井坂!これで最後だ!!」 叫びとともに炎の刀を振り下ろすアクセル。 その一撃はトライアル・ドーパントを、そして相手の動きを拘束していた∞のプラズマエネルギーをも真っ二つにするのであった。 無限をも打ち砕く一閃・・・新技インフィニティスラッシャー完成の瞬間であった。 「そんな・・・馬鹿な・・・。」 「絶望が・・・お前のゴールだ。」 大爆発を起こすトライアル・ドーパント。 「やった!!」 「照井さん!ついに・・・倒したんですね!!」 アクセルのもとへ上条と御坂が駆けつける。 一方のアクセルもこの爆発を見て戦いが終わったのだと思い、変身を解除しようとベルトに手をかけようとしたその時だった。 突然、3人の体に走る電気のような恐怖の感情。 予測不能の事態にアクセルは再び構え、また上条たちも急いでアクセルのもとに現われる。 「これはいったい・・・?」 「・・・!」 「そんな!!」 爆発によって出来た火柱を見る3人。 その目線の先には、倒したはずの井坂の姿が、そして彼の手にはメモリブレイクしたはずのT2トライアル・メモリがあった。 「馬鹿な・・・メモリブレイクしたはずなのに・・・。」 「残念ですが・・・T2ガイアメモリは普通のとは・・・違いましてね・・・君たちのような虫けらには・・・ ブレイク出来ない構造に・・・なっているのですよ・・・。」 息も絶え絶えになりながら語る井坂。 「メモリブレイク出来ない・・・だと?」 「そう・・・だから・・・。」 TRIAL! 残された力で再度耳にメモリを挿入する井坂。 その姿はトライアル・ドーパントに・・・しかも、先ほどのアクセルたちの攻撃など無かったかのような無傷の姿となっていた。 「私を倒すことは出来ないのです。ましてや、虫けらごときが神に等しき力を持った私を倒そうなど不可能にも程がある!」 井坂が言う。 その声も先ほどのような満身創痍の声ではなく、ハツラツとした声であった。 「さあ、どうしますか?このまま素直に私に倒されるか・・・それとも、無駄に抵抗して私に倒されるか?」 「答えはひとつ・・・お前をメモリブレイクするだけだ。」 突然割り込む声。 トライアル・ドーパントが声の方向を見ると、 そこにはハードタービュラーに乗った仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリームと禁書の姿があった。 ハードタービュラーを操作し、アクセルのもとへ現われるWと禁書。 その姿を見て、アクセルが声をあげる。 「禁書!それにフィリップと左!!」 「待たせたね、照井 竜。だが、今はおしゃべりする暇など無いようだ。」 「・・・ああ。しかし、どうやってメモリブレイクするつもりなんだ?」 「へへぇ~ん!それに関してはフィリップと禁書が対策済みさ!!」 翔太郎の意識がそう言うと、Wは右手を前に掲げた。 「「プリズムビッカー!!」」 胴体のクリスタルサーバーから現われるWの武器プリズムビッカー。 それを受け取ると、Wはアクセルに渡すのであった。 「これは・・・。」 「もうひとつ・・・禁書、君の番だ。」 「ハイハイなんだよ!」 そう言って、禁書がアクセルに何かを渡す。 「これは・・・ガイアメモリ?」 「そう・・・正確には『地球の記憶』と魔術や超能力といった『特殊能力』を組み合わせたハイブリットメモリといったとこかな?」 「てるい!これとてるいのメモリの力を合わせて、『青の通り魔』をボッコボコしてやるんだよ!!そうすればきっと勝てるんだよ!!!」 元気よく叫ぶ禁書。 「・・・。」 「てるい、どうしたの?」 黙るアクセルに対して問いかける禁書。 それに対し、アクセルが答える。 「禁書・・・今度こそ君との約束を果たす!」 「うん!ファイトなんだよ!!」 禁書の言葉を聞くと、アクセルは自身のドライバーからアクセル・メモリを抜き、 マキシマムカウンターを挿入した。 TRIAL! 響き渡るスターティングシグナルの音。 と同時に黄色くなるアクセルの装甲。 そして、スターティングシグナルの音が最高潮に達した時、アクセルの装甲は砕け、 新たなる青い装甲が包み込むように装着された。 「頼んだよ、てるい・・・うぅん!仮面ライダーアクセル トライアル!!」 Wから受け取ったプリズムビッカーを掲げるアクセル。 そして、彼はプリズムビッカーのマキシマムスロットにガイアメモリを挿入していく。 ENGINE!MAXIMUM DRIVE!! RAILGUN!MAXIMUM DRIVE!! IMAGINE BREAK!MAXIMUM DRIVE!! ACCEL!MAXIMUM DRIVE!! マキシマムスロットから飛び出す4つの光。 それらはひとつの球体となってトライアル・ドーパントを包み込んだ。 「な・・・なんだこれは?!」 驚くトライアル・ドーパントを上空へと持ち上げる光。 対するアクセルはプリズムソードを右手に持つと、左手のプリズムビッカーを投げ、マキシマムカウンターに持ち替えた。 押されるマキシマムスイッチ、そして勢いよく回転しだすトライカウンター。 それを確認したアクセルはマキシマムカウンターを空高く放り投げると、プリズムソードを構え、 そして上空で拘束されたトライアル・ドーパントに対しプリズムトルネードの体勢に入った。 「全て・・・振り切るぜ!!」 勢いよく飛び上がり、トライアル・ドーパントを球体ごと斬ろうとするアクセル。 だが、その瞬間、トライアル・ドーパントは自身を捕えていたエネルギーを破壊、 さらにはアクセルの持つプリズムソードをも掴んでしまうのであった。 「何?!」 「言ったはずです!神に等しき力を持った私が負けるはずないと!!」 「そんな!あいつにはプリズムトルネードも効かないのか?!」 上空での光景に対し、叫ぶ翔太郎の意識。 「照井さん・・・。」 上条も落胆した声をあげる。 だが、そんな状況に禁書が叫んだ。 「とうま!そんな悲しい声をあげてる暇なんて無いんだよ!!今はてるいを応援するんだよ!!!」 「禁書・・・。」 「だから、ホラ!みさかも、フィリップも!!仮面ライダー!!!」 「・・・うん!もうひと踏ん張りよ、仮面ライダー!!」 「照井 竜・・・見せてくれ、君の仮面ライダーとしての力を!!」 「照井!!」 「照井さん!・・・いや、仮面ライダー!!」 「仮面ライダー!!!」 『仮面ライダー!!!』 アクセルの耳に届く仲間の声。 その声が、再びアクセルに力を与える。 「井坂・・・お前の力は『神に等しい』と言ったな?」 「ん?何を急に・・・。」 「ならば貴様の負けだ。何故なら俺は・・・罪を重ねた者への『死神』なんだからな!!」 その時、上空からひとつの光が現われ、プリズムソードのメモリスロットに挿入される。 アクセルの耳に飛び込む、ひとつのガイアウィスパー。 それはハッキリとこう言っていた。 SKULL!MAXIMUM DRIVE!! 「ぅおぉおおおおお!!」 両手でプリズムソードをしっかりと握り、力を込めるアクセル。 「こ・・・この力は・・・!!」 耐えるトライアル・ドーパントであったが、突如力を増したプリズムソードに耐えることが出来ず、手を離してしまう。 その瞬間、全ての人の思いが詰まった一撃がトライアル・ドーパントの体を貫いた。 プリズムソードを手に、地面へ着地するアクセル。 と同時にマキシマムカウンターも彼の左手に収まる。 TRIAL!MAXIMUM DRIVE!! 「9.8秒・・・やはりこれが・・・井坂の絶望までのタイムだ。」 その言葉の直後、大爆発を起こすトライアル・ドーパント。 その直後、噴煙からはT2トライアル・メモリが飛び出すが、 『地球の記憶』と『特殊能力』のふたつの力を持ったメモリブレイクによって機能を停止、 さらには地面に激突し、そのショックで粉々に砕け散るのであった。 こうして、学園都市で起きた『青の通り魔』の事件は終焉を迎えた。 「てるい!」 アクセルのもとへ駆けつける禁書。 そして勢いよくジャンプし、そのままアクセルに抱っこされるのであった。 「禁書・・・やったぞ!!」 「うん!」 「照井さ~ん!」 「仮面ライダー!!」 駆けつける上条と御坂。 アクセルは禁書を下し、変身解除する。 「これで・・・終わりよね?」 御坂が問いかける。 「ああ、これで・・・。」 「いや・・・終わりじゃないかもしれない。」 照井の言葉をさえぎる声。 その声の主は変身解除したフィリップであった。 「どういうことなんです?!」 上条が言う。 「確かに井坂のメモリブレイクは出来た。だが・・・井坂自体の姿が見えない。」 そう言って、破壊されたT2ガイアメモリの方向を見るフィリップ。 仮面ライダーたちが行うメモリブレイクはガイアメモリ自体を破壊することであり、 素体となった人間に対してはダメージを与えることはあっても破壊することは無い。 だが、この戦いの場に残されていたのはメモリの破片のみであった。 「それじゃあ・・・また、あのドーパントが出るかもしれないって言うの?!」 「いや、それはねぇ。だが、井坂が生きてる可能性がある・・・って話だ。」 翔太郎が言う。 では、井坂はどこへ消えたのか? 学園都市、戦いの場から少し離れたエリア。 そこに、ひとりの白い服装に包まれた男に肩を貸してもらいながら歩く井坂の姿があった。 「申し訳ありませんね・・・加頭くん・・・こんな醜態を・・・さらす羽目になるとは・・・。」 「いえ、私は上からの命令に従っているだけですから。」 「・・・と言うと・・・財団Xは・・・私を・・・助けると・・・。」 「いえ。」 「何・・・?」 「上からの命令はこうです。『井坂 深紅郎に財団Xからの言葉を伝えろ』と。」 そう言って、唐突に井坂を突き放す加頭 順。 「どういう・・・ことだ・・・。」 「あなたを助けたのは、あなたに上からの言葉を伝えるという命令が遂行できなくなる故の措置。 あなたの命を助けるつもりなど財団Xも・・・そして私も毛頭ありません。」 「そんな・・・。」 「財団Xからの言葉をお伝えします。『試作型T2ガイアメモリに関するデータの収集は完了した。 以後、今回のデータをもとにT2ガイアメモリを量産させる。 しかし、T2ガイアメモリは財団Xの秘密事項であるにもかかわらず、仮面ライダー側に一部データを露呈させてしまった。 そのため、少しでも機密漏えいを阻止するため、井坂 深紅郎の口を封じさせてもらう』・・・とのことです。」 「そんな・・・助けてくれ・・・助けてくれ!」 「残念ですが、私は上の命令に従うしかないサラリーマンですから・・・。」 そう言って、加頭はガイアメモリを取り出して構える。 UTOPIA! 変貌する加頭の体。 そして、現われた異形の存在は無抵抗な井坂へゆっくりと迫る。 「う・・・うわぁあああああ!!」 学園都市に木霊する井坂の断末魔。 だが、その声に気づく者は誰ひとりとしていなかった。 いや、ひとりだけその声を聞いていたものがいた。 「随分と派手にやってるな、兄弟。」 加頭の背後に現われるひとりの男。 「おや、あなたは・・・確か、風都でのNEVER増員計画の指揮を執っていたはずでは?」 「ああ・・・だが、Xビッカー一基だけじゃ不安でな。そこで財団Xに何らかの援助を・・・と思って来てみたら・・・。」 「言っておきますが、T2ガイアメモリの譲渡は出来ませんよ?」 「ばれたか。しかしよう、兄弟!なんとかならないのかい?」 「さっきの会話を聞いていたなら分かるでしょう。私は上の命令に従うだけのサラリーマン。 いくらあなたと同じNEVERと言えど、私の一存であなた方への援助は出来ないのです。」 「そうか・・・。」 「・・・しかし・・・これは私の独り言です。」 「・・・ん?」 「T2ガイアメモリは原本完成後、空路でディガルコーポレーション地下の工場で量産化する予定です。輸送日はまだ未定ですがね・・・。」 「ほほう・・・こりゃ、たいそうな独り言だな。」 「この言葉をどう捉えるかはあなたにお任せします。では、私は次の仕事があるので・・・。」 そう言って、男の前から立ち去る加頭。 「・・・兄弟、ありがたく使わせていただくよ。その言葉も・・・そしてT2ガイアメモリもな!」 叫ぶ男。 その男の手には、ガイアコネクタを模した<E>のガイアメモリがあった。 『青の通り魔事件』から2週間後。 風都にある風都警察署、その中の会議室に大勢の人が集まっていた。 上条、御坂、禁書、白井、初春、翔太郎、フィリップ、そして亜希子。 何も知らされずに来た8人はどうしたら良いか分からず、なんとなく椅子の上でソワソワとしていた。 「それにしても・・・突然呼び出すなんて、竜くんどうしたんだろうね?」 「さあな・・・照井なりのサプライズでもあるんじゃねぇの?」 「・・・ん?」 突然、禁書が小さな鼻をヒクヒクさせる。 「どうしたんだい、禁書?」 「ねぇ・・・良い匂いがしない?」 「ん?・・・む、これは・・・。」 「・・・間違いなく、『アレ』ですわ。」 「確かに・・・『アレ』の匂いですね。」 「・・・いや、ただの『アレ』じゃねぇ・・・まさか!!」 上条が叫んだ瞬間、会議室の扉が開き、エプロン姿の刃野とその部下で同じくエプロン姿の真倉 俊、 そして割烹料理人のような姿をした照井が現われた。 「待たせたな。刃野、真倉!」 照井の声を受けて、ドアの外から何かを持ってくるふたりの刑事。 真倉は小山のように盛られたご飯が入った平皿が何枚も乗ったカートを、 刃野は先ほどの匂いを発する大きなズンドウ鍋が乗ったカートをそれぞれ会議室に入れるのだった。 刃野からカートを受け取り、ズンドウ鍋の蓋を開ける照井。 そこに入っていたのは・・・。 「照井さん・・・これって・・・。」 「ああ、『恐竜や』バイト中に教わった<フルーツスパイシーカレー>だ。」 「やったぁ!カレーだぁ!!・・・でも、なんで?」 禁書が照井に聞く。 それに対し、照井はさらにカレーを盛り、禁書の前に置いてこう言った。 「約束したろう?トライアル・ドーパントを倒せなかったら、禁書に腹いっぱいご飯を御馳走してやる・・・と。」 「え・・・でも、倒したんじゃ・・・。」 「結果的にはな。だが、一度は敗れ、禁書や御坂を悲しませることになってしまった。 その罪滅ぼしになるかは分からんが・・・まあ・・・とにかく、俺に質問しないでさっさと食え!」 照井が笑顔で答える。 「えぇっと・・・うんっ!!」 その笑顔に答えるかのように、禁書もいっぱいの笑顔で返事する。 全ての行き渡るカレー。 そして、禁書の「いただきます!」という言葉を合図に勝利の宴が始まった。 「辛っ!でも旨っ!!」 「この味・・・このスパイシーさ・・・ゾクゾクするねぇ!」 「おかわりなんだよ!」 「私も!」 「早っ!ビリビリも早っ!!」 「満腹が・・・お前たちのゴールだ。」 会議室に響き渡る嬉しそうな声。 その声は外にも伝わっていた。 そして、その光景をひとりの男が見ていた。 「さすがだ、仮面ライダーアクセル!そして、上条 当麻!!あの時は70点なんて言っちまったが・・・これで100点だ。」 そう言って、頭の帽子を被り直す男。 それは鳴海 壮吉であった。 「もう、心配はいらないようだな。風都には翔太郎、フィリップ、そして照井 竜。学園都市には上条 当麻と御坂 美琴。俺の出る幕じゃねぇ・・・。」 そう言って、鳴海がその場を去ろうとしたその時だった。 彼の頭上を通り抜ける一台のヘリコプター。 そして、それを追いかけるかのように飛ぶ一機の飛行機。 そのふたつが通り抜けた瞬間、風都に何とも言えない不気味な風が流れた。 「これは・・・。」 飛行機の飛んで行った方向を見る鳴海。 「・・・もう一仕事必要かもしれないな。」 その数十分後、風都上空にてヘリコプターが謎の大爆発を遂げるという事故が発生。 さらに、ヘリコプターに積まれていた26本のガイアメモリが爆発の衝撃で飛散、風都中に巻かれるのであった。 今まさに、新たなる『死神』によるパーティタイムが始まろうとしていた・・・。 おわり
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オンラインネーム:バンブー 主にCoD4、デモンズソウルなど他人に寄生できるゲームを配信する。 オンラインネームから、『竹さん』、『竹ちゃん』などの愛称で視聴者から呼ばれ、親しみやすいプレイヤーだが、 PS3IDのスペルは竹とは異なっている(実は頭は悪いのかもしれない…)。 スペランカーはかなり上手なプレイを見せるが、いかんせんゲーム自体が過疎っている。 彼がCoD4を配信すると、なぜかレスが少なくなる現象が多々ある(みんな凸しているからだよね?ね?)。 最近(2009/11/02)、配信環境の改善の為にルーターを買い換えたが、それが改悪となり、 何もしなくても配信が切断されるという現象が起こった。 現在(2009/11/08)では、配信環境も改善された。 配信中の出来事 2009/11/08 23 05 好意で鏡を出してくださった方を蹴りだすという暴挙を行う 最近の主な配信タイトル CoD4 MW2 MAG β CoD4 ぽっちゃりプリンセス DEMO みんなのスペランカー デモンズソウル
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イギリス某所。 『ATTACK RIDE BLAST!』 マゼンダに黒と白のラインが入った奇抜な鎧と仮面をつけた男が、二人のシスターへと銃弾を放つ。 その銃弾は背の低い方のシスターの前に浮かんでいた袋に命中し、中身の金貨が辺りにばらまかれた。 「ひゃあ!?」 「シスター・アンジェレネ、下がりなさい!」 もう一人のシスターが木製の車輪を構えながら叫び、その直後車輪が爆発し破片が男へと襲いかかる。 迫る破片に対し男は動じず、持っていた銃身部分がノートのような形状の銃で一つ残らず打ち落とした。 「この程度か?」 「し、シスター・ルチア……」 「くっ……あなた、何者です!?」 ルチアの言葉に男は一瞬間を置き、勿体ぶるかのように答える。 「俺は世界の破壊者ディケイド……覚えておけ」 ◇ 仮面ライダーディケイド VS とある魔術の禁書目録 第一話「世界を破壊する者」 ◇ 学園都市。 東京都の三分の一もの面積を誇る巨大都市だ。 総人口は二三◯万、その八割は学生で占められていた。 記憶力、暗記術という名目で超能力研究、つまり脳の開発を行っている。 この都市にいる学生はそれらのカリキュラムによって普通の人は持たない「異能」の力を持っていて、その力の強さによってレベル0~5と区別されている。 学園都市第7学区に存在する地下街。 人々が行き来するその一角に、見慣れぬ写真館が立っていた。 つい昨日まで存在しなかったはずのその建物を誰かが気にする様子はない。 その「光写真館」の扉が開き、三人の男女が学園都市に現れた。 「ここはどんな世界なんだろうなぁ」 「さあな、ライダーの世界ではないと思うが……」 「そういえば士君、今回は服が変わってませんね」 門矢士、光夏海、小野寺ユウスケ。 この三人は消滅しようとする世界を救うため、いくつもの世界を巡っていた。 一つ前にいた世界でその使命を見事果たし、今は気ままな旅を続けている。 「けどどうしようか、もうこの世界で士がやるべきこと! とかって探す必要がないんだよな?」 「言われてみればそうですよね……」 「なら簡単だ、適当に観光でもすればいい」 士の言葉に二人は明るい表情を浮かべ、早速辺りを探索しに駆け出していく。 「……子供かあいつらは」 常盤大中学の制服を着た二人の少女が歩いていた。 一人は風紀委員【ジャッジメント】である白井黒子、もう一人は学園都市に七人しかいないレベル5の電撃使い【エレクトロマスター】"超電磁砲"の御坂美琴。 二人は買ったばかりの服が入った袋を持ち、寮への帰路についていた。 「お姉さま、またそんな子供っぽい服を……」 「う、うっさいわね、そこまであんたに言われる筋合いはないわよ」 談笑しながら歩くその背後、直前まで何の変哲もなかった空間が歪み、オーロラのような壁が現れその中から一つの影が飛び出し美琴達へと迫る。 影は辛うじて人の形をとっているものの不自然に歪み、左腕に至ってはカニのハサミのようになっている。 そのハサミのような左腕を振り上げ、美琴へと狙いをつけ―― 「黒子!」 次の瞬間、二人の姿が消えた。 獲物を見失った影……カニの怪人、シオマネキングは慌てた様子で消えた二人の姿を探す。 「どなたかは存じませんけど」 辺りを見渡すシオマネキングの背後、数瞬前までオーロラの壁が存在していたその場所から黒子の声が発せられる。 「私と、よりにもよってお姉様に襲いかかるなんて、命知らずもいいところですわね」 呆れたような声で喋る黒子に、シオマネキングの姿を見ての動揺は感じられない。 学園都市の能力者には自分の姿を隠したり、変えたりできる者もいる、目の前の異形の姿もその手の能力だと判断したのだ。 その横で美琴もパリパリと前髪から火花を散らして臨戦体勢に入っている、この都市の人間だったならば迷わず逃げる状況だろう。 だがシオマネキングはすぐさま美琴へ向けてカニに酷似した口から泡状の溶解液を発射した。それを軽く横へ飛んで回避し、 「危ない!」 「うわっ!?」 更に横から飛び出してきた青年に押し倒される。 側で黒子が恐ろしい形相になっているのに気づかないままその青年、ユウスケはシオマネキングを睨みつけながら美琴へと声をかける。 「大丈夫!?」 「えっと、あー……一応」 「よかった、士、こっちは大丈夫だ!」 完全に余計なお世話だったのだが、完全に善意の行為のようだし責めるのはあんまりだろう。 そのままユウスケが声をかけた方向に目を向けると、玩具のようにも見えるベルトを持った男が疲れたような顔で歩いてきていた。 「どうしてこの世界に怪人がいるんでしょう?」 「シオマネキング……スーパーショッカーの残党ってところか」 そのベルト、ディケイドライバーを見て黒子と美琴が表情を変えるがユウスケは気づかない。 士はディケイドライバーを装着し、一枚のカードを取り出した。 「どうやらこの世界でも、俺のやるべきこととやらは存在するらしい……変身!」 『KAMEN RIDE DECADE!』 カードをバックルに入れながら叫び、それと同時に士の全身を鎧が覆う。 マゼンダに黒と白のラインが入った奇抜なデザイン、緑色の目は昆虫の複眼を模したものか。 更に七枚の黒い板が現れ、仮面へと突き刺さり七本の黒いラインと変化する。 ディケイド、門矢士の変身する仮面ライダーである。 「ユウスケ、その二人を任せた、夏みかん、他に人が来ないよう見張っておけ!」 鍔の部分がノートのような形状の剣、ライドブッカーを取り出しシオマネキングへと斬りかかる。 シオマネキングも左手のハサミと溶解液で対抗するが、どちらが優勢かはすぐにその場の全員が理解できた。 「よし、ここは士に任せて君たちは早く離れて!」 ユウスケが二人の手を掴んでその場を離れようとするが動こうとしない。 「何してるんだ、二人とも早く!」 「黒子、あれって……」 「ええ、間違いないようですわ」 二人の視線はディケイドとなった士に固定されている。 ユウスケは一瞬顔を顰め、もう一度避難を促そうと口を開く。 ――直後、ユウスケの体は地面に倒されていた。痛みも衝撃もなく、いつの間に、誰に倒されたのか理解ができない。 「動かないでいたただけます?」 「なに、を――」 状況が分からないままとにかく立ち上がろうとするが、ドカドカドカッ!と電動ミシンのような音と共にその動きが封じられる。 慌てて体の様子を見るが、金属矢が服と地面を縫いつけていて動けそうにない。 「ですから、動くなと申しておりますの」 その言葉で、自分が助けようとした少女が何かをしたのだと理解する。 だがいったい何をしたのかが掴めない、ユウスケも士と同じ仮面ライダーとして戦い続けてきた戦士だ、直接倒されて気づかないわけがない。 黒子達はユウスケの方を振り向こうともしない、黒子の能力、レベル4の空間転移【テレポート】を利用した攻撃についてわざわざ説明する気などなかった。 『FAINAL ATTACK RIDE DEDEDECADE!』 ディケイドが再びバックルにカードを差し込むと同時に電子音が鳴り響く。 直後、ディケイドとシオマネキングの間に10枚のカードのようなエネルギーの壁が現れ空中へと浮かび上がる。 そのカードめがけてディケイドが飛び蹴りを放ち、次々とカードのエネルギーを吸収していきそのままシオマネキングの体へと直撃させた。 シオマネキングの体が吹き飛び、地面に倒れ伏したまましぶとくもがくが、爆発し跡形もなくなってしまう。 戦いが終わり、ディケイドライバーへと手をかけるが地面に縫いつけられているユウスケの姿を見てその手を止める。 「……どういうつもりだ?」 「それはご自身の胸に聞いた方が宜しいのでは?」 士の問いかけに挑発するように黒子は返す。 背後の美琴による「手伝おうかー?」という言葉は「これはジャッジメントの仕事ですの」と一蹴している。 「ジャッジメント? その年で裁判官か?」 「あらあら、ジャッジメントがわからないとは、外からの侵入者にしてももう少し勉強してきたらどうですの? 世界の破壊者さん」 「……またそれか」 ◇ 「指名手配犯……?」 ツンツン頭の青年、上条当麻は配られたプリントを見て眉を顰めた。 ペラペラなA4サイズの用紙には思わずコメントを避けたくなるセンスの仮面が印刷され、その上には「この顔にピンと来たら警備員【アンチスキル】へ!」などとデカイフォントで書かれている。 更に玩具のようなデザインのベルトやら、大雑把な身体的特徴が小さく書かれているがむしろこちらを大きくすべきなのでは、と上条は思う。 (何やった奴か知らねーけど、こんな目立つ仮面すぐ外してるだろうに) こんなインパクトのある仮面の写真を出されては、対して興味のない人間はそれ以外の情報などすぐに忘れてしまう、上条自身もその例に漏れずさっさとプリントをしまおうと動く。 「今渡したプリント、よく見てくださーい」 「へ?」 その動きを抑制する声に教壇の方へと目を向ければ、見た目12歳な酒好きヘビースモーカー女教師、月詠子萌がプリントをひらひらと振り回して声をあげている。 仮面以外に何か注目すべきところがあったのか、と上条は渋々しまいかけのプリントを机の上に戻して視線を落とした。 「えっとですねー、実は先生も詳しいことは聞いてないのですけど、アンチスキルの人が言うにはレベル5にも相当する強い力を持っているので、間違っても自分で取り押さえてやろう、等と考えないようにとのことですー」 子萌の言葉に教室がざわつく。 レベル5とと言えば一人で軍隊とも戦える、とまで評される学園都市に七人しかいない能力者だ。 上条もその内二人と出会ったことがあるがどちらも反則のような力を自在に操っていた、レベル0の上条からしてみれば別の世界の住人だ。 と、そこで先程の言い回しに違和感を覚える。 (レベル5『相当』……?) 能力者が相手だとしたらこのような言い回しはしないだろう。 だとすると考えられるのは学園都市の武器で武装した無能力集団【スキルアウト】か大人か……それも不自然に思える、銃器などを指して能力者のレベルで例えることなどないからだ。 (だとすると……魔術師か!?) 上条の背筋を冷たいものが走る。 星覇祭の最中に学園都市を支配下に置こうとした魔術師と激戦を繰り広げたことはまだ記憶に新しい。 無意識に拳を握るが、直後自分の机に丸めたメモ用紙が投げ込まれることで我に返る。 誰だ? と思いながら紙を開くと「後で話がある」という短い文だけが書かれていた。 周囲を見渡すと、金髪サングラスと目立つ格好で話を聞くふりをしている土御門元春がサングラスの下からじっとこちらに視線を送っているの気づき、頷いて答える。 (土御門が関係してるってことはやっぱ魔術師か! くそ、狙いはなんだ……インデックスは大丈夫だろうな!?) 「結論から言うと、相手は魔術師じゃないぜよ」 「…………は?」 放課後、上条は土御門に先導される形でいつもの寮への帰宅ルートからは外れた道を歩いていた。 裏路地のようなすぐに思いつく「人のいない場所」ではない、それなりに店などもあるのだが人通りのない、人気の無いスポットというやつだ。 そこでの土御門の第一声に、上条は思わず間抜けな声をあげてしまう。 「じゃ、じゃあ能力者なのか……」 「いーや、それも違う。どうやらこいつは魔術サイドでも科学サイドでもない、完全な第三勢力らしい」 「第三勢力……?」 その言葉で上条が思い出したのは、以前学園都市の人間になりすまし美琴に近づこうとしていた魔術師から聞いた話だ。 彼は上条を中心とした科学サイドと魔術サイド両方の人間による強固な人間関係を新たな「上条勢力」と呼び、二つの勢力のバランスを崩すのではないかと危惧していた。 この手配犯はそういった今保たれているバランスを崩そうと動いているのだろうか。 「詳しい目的や正体は掴めてない、ただこいつが魔術師に攻撃を加え、今学園都市にも刃を向けていることは事実だ」 「……? でも待ってくれよ、魔術師でも能力者でもない奴がそんなことできるのか?」 「現に行われてるんだからそこはできるもんだと思ってもらうしかないにゃー、問題なのは、こいつが魔術師と敵対しながら学園都市にいるってところだ。こいつは自分たちの敵なんだからこっちも黙っていられない、 なんて理由をつけて好き勝手学園都市をうろつかれちゃたまったもんじゃないぜい」 確かに敵を探す、という名目で学園都市の機密を探り出そうとする者は出てくるだろう、監視の目はあちこちにあるものの、今まで幾度となく学園都市内部に侵入してきた魔術師達を知っている上条としてはほとんど気休め程度なものである。 「一応今は実際に襲撃を受けた必要悪の教会【ネセサリウス】が人材を派遣するってことで抑えがついてるが……時間の問題だ」 「早いとここっちで捕まえないとまずいってことか」 「ま、それは実際アンチスキルやジャッジメントの仕事なんだけどな、カミやんは禁書目録を守ってほしい」 突然出てきた名前に上条の表情が険しくなる。 「インデックスが狙われてるのか!?」 「わからない、だが相手は『世界の破壊者』を名乗っている……禁書目録の十万三千冊の魔道書を利用する可能性もあるってところだ」 「世界の破壊……!?」 「ああ、こいつの名前は世界の破壊者ディケイド、最も自分で名乗ってるだけで本名かどうかはわからないがな」 ◇ 黒子は士から一定の距離を保ちながら、そっとふとももに巻かれているベルトにセットしている金属矢に触れる。 彼女のテレポートは強力な力だが、その制約も多い。 3次元から11次元への特殊な移動は複雑な式で計算しなくてはならず他の能力より脳への負荷が大きい、そのため痛みや動揺などで集中が切れてしまえば使用不能となる。 更に現状で最も厄介なのは対象物に触れなくてはならないということだ、極端な話テレポートで士を飛ばせれば床や壁に埋め込んでしまうことも可能だが、それにはまず直接触らなくてはならない。 だが先程の戦いを見る限りそれは容易なことではないだろう、一撃でもくらえば致命傷になりかねない。 「おい、誰に吹き込まれたかは知らないが、俺はもう破壊者なんかじゃ」 「犯罪者の言う事を聞く趣味はありませんの、大人しく捕まってくれるのでしたら弁護士がいくらでも聞いてくれますわよ」 「このガキ……ちょっと躾が必要なようだな?」 流石に少女に斬りかかるのは気が引けたか、ライドブッカーをしまい黒子へと駆け出す。 士の間合いに入る直前にテレポートを発動、士の真後ろに現れる。 「なっ……!?」 「相手を見た目で判断する、そういうのは死亡フラグですわよ?」 言いながら士へ手を伸ばそうとし、再びテレポートで間合いを離す。 直後黒子がいた空間を士の拳が通りぬけ、やはり直接触れるのは難しいと判断する。 「なんだ、クロックアップ、じゃないな……」 「降参する気になりました?」 「この、人が手加減してれば調子に乗りやがって……ぐあっ!」 ライドブッカーに手を伸ばした右手に金属矢が突き刺さる。 転移先の物体を押しのけて移動させるテレポートには、ライダーの装甲さえも意味をなさない。 士は右手を抑えながらその場に蹲ってしまう。 「まったく、気は済みましたの?」 「……いいや、これからだ」 「っ!?」 蹲り黒子の視界から隠していた左手に二枚のカードが握られていた。 黒子が再び金属矢に触れるよりも早く、一枚のカードをバックルに入れる。 『KAMEN RIDE KABUTO!』 電子音と共に士の纏っていた装甲が姿を変化させる。 青い複眼、緋色の装甲、そしてカブト虫を模した赤い角が目をひきつける。 カブト、天の道を往き、総てを司る男が変身する仮面ライダーだ。 「姿が変わった……?」 「黒子!」 何か攻撃が来ると思っていた黒子は予想外の出来事に思考を巡らせるが、美琴の声に我に返る。 起死回生の一手を打とうとしている相手に受身になるなど悪手以外のなにものでもない、だが黒子が行動に移る前にすでに士は二枚目のカードをバックルに差し込んでいた。 『ATTACK RIDE CLOCKUP!』 瞬間、世界が止まる。 慌てて金属矢に触れた黒子も、そのフォローをしようと駆け出した美琴も、拘束を外そうともがき続けていたユウスケも、全員が不自然な体勢のまま動きが止まっていた。 全てが静止した世界でただ一人、士だけが平然と動き右手に刺さっていた金属矢を引き抜き放り捨てる。 金属矢は地面へ落ちるが、その穂先から流れ落ちた血は空中で不自然に留まったままだ。 クロックアップ……カブトの持つ周囲の時間の流れを何倍も遅くする力である。 「まったく、厄介な世界に来たな……」 愚痴りながら黒子の背後へと周り、その首に軽く手刀を降ろす。 『Clock over』 再び電子音が鳴り、それと同時に時間の流れが元に戻り黒子は気を失いその場に倒れ伏す。 「なっ!?」 倒れた黒子と士を交互に見ながら美琴は驚愕に満ちた声を上げる。 彼女からしてみれば一瞬で士が黒子の背後に移動したようにしか見えないのだ、士もテレポートの能力を持っているという可能性が頭をかすめるがそれなら今まで使わなかった理由がわからない。 警戒を強める美琴に対して、士は疲れた視線を向けた。 「やめとけ、子供を虐める趣味はない」 その言葉に美琴の目つきが鋭くなる。 七人しかいないレベル5の第三位、そのプライドを逆撫でするには十分すぎる言葉だった。 「世界の破壊者だなんて名乗って、人の後輩傷つけて、それでそんなセリフよく言えたわね」 「お、おい待て! 世界の破壊者を名乗った覚えはないし、先に手を出したのはそっちだろう!」 「今更トボけたこと言ってんじゃないわよ!」 前髪から火花を散らし、叫びながら士へと雷撃を放つ。 側の黒子を巻き込むことを恐れたか狙いは甘い、なんとか回避に成功するが士は仮面の下で表情を歪める。 「今度は雷……なんなんだこの世界は」 ぼやきつつも新たなカードを取り出す。 クロックアップは時間を止めるわけではない、元々の速度が光速に近い雷が相手では回避しきれる保証はない。 雷に対抗するには―― 「こっちも雷だ!」 『KAMEN RIDE STRONGER!』 士の姿が再び変化する。 カブト虫を模した角に赤い装甲、それは先程のカブトと似ているともいえる。 そんな中、風になびく白いスカーフと装甲の胸に刻まれたSの文字、更に先程はスマートな印象だったフォルムからは力強さを感じるようにはっきりと変化していた。 ストロンガー、電気の力を扱い友人の仇を討とうと戦う熱き男が変身する仮面ライダーだ。 「また変わった!?」 「少し大人しくしてもらうぞ!」 『ATTACK RIDE ELECTROFIRE!』 電子音と共に地面へと拳を叩きつける。 拳を通じて放出された電流が地面を伝い、美琴へと襲いかかった。 (電気!? こいつの能力は――!) しかしレベル5のエレクトロマスターは伊達ではない、自分の電撃をぶつけて無理矢理に軌道を曲げる。 「そうか、あんたの能力は模倣【コピー】……!」 「はぁ?」 黒子との戦いでは空間転移、自分との戦いでは電気を操る士の力を美琴の常識で当てはめて思い浮かぶのはそれだけだ。 自分だけの現実【パーソナルリアリティ】による能力は通常一人一つしか持つことはできない、仮に美琴が黒子に空間転移の理屈を説明されたところで空間転移の能力が発現したりすることはない。 だがもしもパーソナルリアリティを読み取り理解する力があったらどうか? 相手の力を理解し真似ることができるのではないだろうか。 「上等、どこまで真似できるか見てやろうじゃない!」 瞬間、美琴の前髪から雷撃の槍が生み出される。 それは自然界で生み出される雷とほぼ同等の紫電で作られた、青白い光の槍。 その迫力に士もたじろぎ、焦りをのぞかせながら更なるカードを引き抜く。 「『あいつ』に撃った時よりは手加減するわ、私の力をコピーしてるってんなら、死にはしないはずよ」 『FORM』 「いけぇ!」 『RIDE―― 光の槍が放たれる。空気中の酸素を分解しオゾンへと組み換えながら突き進み、一瞬にして士の目の前へとたどり着き轟音を撒き散らし直撃する。 「……ちょ、ちょっと?」 それは美琴にとって完全に予想外の出来事であった。 彼女の考えていたようにレベル5のエレクトロマスターをコピーしているならば、いや、そうでなくとも先程のように電気を操る力を持っているなら直撃を避けることができたはずだ。 そう、今の一撃はかわされるのを前提で打ち込んだのだ、それだけの威力を持っている……直撃すれば、命の危険があるレベルの攻撃。 美琴の手の平にじっとりと嫌な汗が浮かんでくる、殺してしまったのだろうか? そう考えると自然と体が震えだす。 御坂美琴は人の死を平然と受け入れられる人間ではない、自分のせいで誰かが死ぬのであれば、自分の命を投げ出してでもその相手を守ろうとする人格者だ。 たとえ犯罪者であろうとも殺してしまって「やりすぎちゃった」で済ませられはしない。 「う、そ……」 「そう思うなら、初めっから撃つな」 「――っ!?」 ――CHARGEUP!』 雷撃の影響で舞っていた土煙が収まり、その中から平然と士が現れる。 その姿に先程と変化はない、胸の装甲に銀色のラインが入り、額の角も同じ色に染まっているが――ダメージはない。 「なんで……?」 無事だったことに安堵し、それ以上に恐怖を抱く。 先程の攻撃が直撃した、それは間違いない。だというのにダメージがないということは例え自分の力を利用したところでありえないはずだ。 「確かに凄い雷だったが、超電子の力には適わなかったようだな」 「超、電子……」 通常の電気技が通じない敵と戦うため編み出されたストロンガーの力、超電子。 その力はそれまでのストロンガーを遥かに上回り、幾度とないピンチを救ってきた。 未知の力に美琴は数歩後ろへ下がる、エレクトロマスターの彼女でも超電子などという物は聞いたことがない。 士の能力はコピーなどではないのだ、レベル5の自分をも上回る電撃使い……そう考えた瞬間、美琴はポケットから一枚のメダルを取り出し士へと向ける。 「おい、いい加減にしろよ」 「っ……!」 超電磁砲。 彼女の二つ名ともなっているこの技は美琴の切り札と言ってもいい。 直接の雷撃が効かなくとも、超高速の弾丸を受ければ無事では済まないだろう。 ……だが、その絶対的な威力こそが美琴を縛る。 直撃させては今度こそ殺してしまうかもしれない、美琴はこの超電磁砲をある一人を除いて人に向けて放ったことがないのだ。 このままでは負ける、だからといって切り札を切ってしまえば殺してしまうかもしれない、美琴の思考が限界に近づき、士も美琴が暴走しかねない状況であることに気づき迂闊な動きを取れない。 と、硬直状態に入りかけた二人の間を青い影が走り、次の瞬間には美琴の手にあったメダルが消えていた。 「え?」 「この場面で出すからには何かお宝かと思ったけど……どうやら大したものじゃなさそうだね」 「海東! お前今までどこに行ってたんだ!」 メダルをしげしげと眺める青い仮面の男、海東へ士が問い詰める。 ディエンド、士と同じように世界を渡る仮面ライダーだ、その姿は基点の色が青であることを除くとディケイドによく似ている。 「なにをする気かはわからないけど、何か切り札を使うつもりだったんだろう? 感謝したまえよ士」 「お前は……いつになっても相変わらずだな」 「仲間? そんな……」 親しいのか険悪なのかわからない会話をする二人を見て、美琴は表情を曇らせる。 士一人に苦労しているというのにもう一人など相手にできない、それに黒子が最初に拘束した青年まで加わってしまえば勝ちの目はほとんど消えるだろう。 思わず後ずさろうとするが、背中に人気配が現れ動きが止まる。 (うそっ、いつの間に後ろに――) 「黒子!?」 「お姉さま、一端退却しますわ!」 いつの間にか意識を取り戻していた黒子が美琴を連れてテレポートでその場から消え去る。 士と海東は辺りを見渡すがどこにも二人の姿は見つからない。 「残念、逃げられてしまったようだね」 「たくっ、いったい何だったんだ」 ディケイドライバーを外し、元の姿へと戻る。隣で海東も変身を解いて青年の姿になっていた。 「そうそう士、こんなものを見つけてきたんだ」 「何だ? ……指名手配、か、どっかの世界で似たようなことがあった気がするな」 「まったくだね、でもここはライダーとは関係ない世界だ……どういうことかわかるかい」 「ああ、嫌ってほどにな」 疲れ果てた表情で天を仰ぐ。 地下街を覆う天井を見ながら、士はその名を呟いた。 「鳴滝……」 第一話 END NEXT STORY「お宝、禁書目録」
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デモンズ・ギプス 闇文明 (1) クロスギア ■クロスギア:このカードをバトルゾーンに置く。クリーチャーにクロスするには、このカードのコストをもう一度支払う。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れても、このカードはバトルゾーンに残る。 ■G・ストライク ■このクロスギア、またはこれをクロスしたクリーチャーが破壊された時、カードを2枚まで引いてもよい。 作者:白山羊 DMGX-01で登場したクロスギア。 関連項目 DMGX-01「超転生編(オーバージェネレート) 第1弾」 カードリスト:白山羊 評価 名前 コメント
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第1話 風都から来た男 東京都の実に三分の一を占める巨大な街である学園都市。その人口はゆうに二百三十万人になり、大部分の人口は学生である。 高さ五メートル、厚さ三メートルの完全な円形のコンクリートに囲まれた学園都市はさながら一つの国のようであった。 学園都市にいる学生は他の街にいる学生にはない特別な「力」を持っていた。その力とは腕力でも権力でも財力でもない。 その力とは超能力であった 全部で二十三学区に区切られた学園都市にいる学生で超能力を持っている学生は七人しかいない。その七人しかいないかと言うとそうではない。 能力はレベルというランクで分けられているのだ。レベルは0~5までで、 レベル0の者は無能力者、 レベル1の者は低能力者、 レベル2の者は異能力者、 レベル3の者は強能力者、 レベル4の者は大能力者、 レベル5の者は超能力者に分けられる。 レベル5ともなれば軍隊とも渡り合えるほど強力な力を行使できる。 ここ最近の学園都市は魔術師と呼ばれる者達と、この学園都市の超能力者達との戦いが続いていた。学園都市で行われた覇星祭の際にも 学園都市を支配下に置こうとした魔術師と、学園の生徒との間で戦闘があったばかりである。 その魔術師と超能力者との戦いの場となったこの学園都市に一人の男が足を踏み入れる。 男の名は左翔太郎。職業は探偵である。 風都から2時間かけてこの学園都市にやってきた。 「ここが学園都市か……、噂に聞いた通り凄ぇ街だな」 翔太郎は学園都市のその広大さに感心していた。科学技術では自分の住んでいる街である風都以上かもしれないと考えた。 風都以外の街で探偵の仕事をするのは始めてだ。土地勘もないし、少し苦労するだろうと思った。 「ぼやぼやしていられねえな……、早くナワリを見つけねぇと……」 翔太郎の持つ写真にはアラブ系の男性が写っていた。 二日前、翔太郎はここ最近風都で起きている十字教教会連続襲撃事件の犯人を捜してほしいと、十字教教会のシスターから依頼をうけた。一週間で六つもの十字教教会が何者かに襲撃、焼き討ちにされたのだ。捜索をしていく内に、翔太郎は自身のいきつけのアラビア料理屋の店長であるナワル・ラディが犯人だと知る。既に十五人の神父、シスターをその手にかけていたナワリは、翔太郎の見慣れた気さくな料理屋の店長とはまるで別人だった。その顔は狂気に満ちた殺人鬼そのものの顔だった。ナワリは翔太郎の追跡を振り切り、逃走してしまう。 その翌日、今度はナワリの店の店員であり、ナワリの弟であるカリールからナワリ捜索を依頼される。カリールの話によれば、ナワリは学園都市に潜伏しており、学園都市にいる十字教の神父やシスターを襲おうとしていると言うのだ。 「これ以上ナワルが殺人に手を染めるのは耐えられない。今までナワリを止められなかった自分が恥ずかしい。頼む翔太郎、ナワリを止めてくれ」 涙ながらに懇願するカリールに心を打たれた翔太郎は学園都市へと足を踏み入れるのであった……。 出入りすることの厳しい学園都市に入る為のIDをカリールが用意してくれたのだ。 「この学園都市の通行許可証まで手配してくれるなんてな……。あいつの為にナワリを一刻も早く見つけねえと」 翔太郎は足の歩みを速め、学園都市への奥へと進む。 ◇ 翔太郎は第7学区内を歩いていた。学園都市でも第7学区は中学・高校といった中等教育機関を主としており、学校に通う学生や勤務教師たちの生活圏となっており、それに付随する形で生活商店などが立ち並んでいる。 翔太郎は学園都市に来てから、学園都市のその広大さに驚いていた。なにより科学技術が風都かそれ以上に進んでいるかもしれないと思っていた。 前方から学生らしき二人の女の子が歩いてくる。翔太郎はこの二人にナワリが知らないか聞いてみることにした。 「そこの君達、この男を見なかったかい?」 「いいえ、見ませんでした」 「私も」 頭に大量に花をつけている子と、もう一方の髪の長い子は首を横に振った。 頭の上がお花畑の女の子は初春飾利。柵川中学一年生で、風紀委員(ジャッジメント)である。風紀委員(ジャッジメント)とは学園都市の治安維持に努める学生選抜の集団である。腕には盾のマークがある腕章を付けており、これが風紀委員(ジャッジメント)の証だ。 髪の長い女の子は佐天涙子。初春と同じ柵川中学一年生で初春の友人である。 「そうかい。じゃあ見かけたらこの名刺に書いてある、俺の携帯電話の番号に連絡してくれ」 翔太郎は自分の名刺を初春と佐天に渡す。 名刺には”ハードボイルド探偵 左翔太郎”と書かれている。 「「ハ……、ハードボイルド探偵……?」」 二人は翔太郎の名刺の気障ったらしさに目が点になっていた。 「それじゃ」 「え……、はい」 「ど……、どうも」 翔太郎は足早にその場を去っていった。 「ったく……、また手がかりなしか……」 翔太郎はもう二十人以上の人間にナワリの事を聞いたのだが、一向にそれらしい情報を入手することができない。 その時翔太郎の携帯から電話が鳴る。 「翔太郎、ナワルは見つかったかい?」 「いや、もう二十人以上に聞いたんだが一向に見つからねえ」 フィリップからの電話だった。 「翔太郎、カリールも学園都市に行くそうだ。僕は止めたんだけどね……、彼がどうしてもと言うから」 フィリップの話によれば、カリールは自分はただ待っているだけなのが許せず、自分も一緒にナワルを捜したいと言ってきたのだ。 「……仕方ねぇな、じゃあ待ち合わせ場所を決めるか」 翔太郎は渋々カリールの参加を許可した。 「念の為にメモリガジェットを飛ばしとくか」 翔太郎は所持していたメモリガジェットである、バットショットを飛ばす。 「やっぱこれを使うっきゃねぇよな」 ◇ ”連続十字教教会襲撃事件発生! 犯人はアラブ系の男 学園都市に潜伏中の可能性あり! 見かけたら警備員(アンチスキル)に 通報を!” 上条当麻のクラス全員に渡されたプリントにそう書かれていた。 「おいおい、宗教抗争がここ日本で行われてるなんて……、おまけに学園都市内にそれを持ち込んでくれるなよ……」 物だ。 当麻は帰宅ルートから外れた空き地で、クラスメイトの土御門と共に今朝、担任である月詠子萌から渡されたナワル風都で起した十字教教会襲撃事件を伝えるプリントを見て呆れるように言う。それに覇星祭の時の魔術師との戦いからまだそう経ってない。いい加減争いの種を撒かないでほしいと頭を抱えていた。十字教と対立する宗教といえばムスリム教しかない。この二つの宗教は昔から争いがあったのだ。こういった事件は今に始まらないが、この都市にまでそういった争い事を持ち込まれるのは迷惑千万も甚だしいと当麻は思った。 「やっぱこの男……、魔術師か?」 「いや、その男は魔術師じゃないぜよ」 「え?」 「俺の読みが正しければ……、その男は恐らくガイアメモリの使用者……、”ドーパント”の可能性がある」 ガイアメモリとは風都で流通しているメモリのことである。メモリといってもパソコンに使用するメモリではない。 ”人体に直接差し込み、人間を超人化させるメモリ”だ。強力なメモリではあるものの、人格を凶暴化させる などの副作用もある危険性を孕んだメモリでもある。そのガイアメモリを使用する者を総称して”ドーパント” と呼ぶのだ。 当麻自身も噂程度だがメモリのことを聞いたことがある。 「噂には聞いていたけど、まさかこの学園都市に来るなんて……」 「こいつにとっては十字教の信者なら誰でもお構いなしみたいだからな。ようするに誰でもいいわけだ。 もしかしたら魔術師以上に厄介な相手かもしれないし。カミやんは禁書目録の所に行ってやんな。あの子も十字教のシスターだし」 土御門の言葉に当麻ははっとしたように立ち上がる。 「そうだな……!俺は一足先に帰ってインデックスにこのことを伝えてくる!」 当麻は駆け足で自分の自宅へと急いだ。 ◇ 「ちょっと~!あたしの饅頭返せぇ~!」 銀髪の髪の毛に、白い修道服を着た小柄なシスター、インデックスは第7学区内の清掃ロボットに、買った饅頭を吸い込まれ てしまい、清掃ロボット相手に格闘していた。以前にもドーナツを清掃ロボットに吸い込まれてしまったことがある。 「いい加減返しなさい~!ぐむぐむ……!」 インデックスは清掃ロボットに噛み付いて、吸い込まれた饅頭を取り返そうとする。 「こらこら、そんなことをしても食べ物は戻ってこないぞ?」 「ん?」 インデックスは声の方向に目を向ける。目の前に、袋を携え、長身の黒スーツを着たアラブ系の男性が立っていた。年齢は27歳位だろうか。なかなか端正な顔立ちの男だ。 「饅頭の代わりにこれを食べてごらん?」 男は持っていた袋からからオムレツを差し出す。 「こ、これ食べていいの?」 「ああ、モチロンだよ」 インデックスは差し出されたオムレツを口の中に頬張る。 「お!おいし~~!も、もっとない?」 インデックスは出されたオムレツの余りの旨さに感激し、二枚目を要求する。 「ああ、あるよ。俺に付いてきたら百枚でも二百枚でも食べさせてあげるよ」 「ひゃ……くまいも!?」 インデックスは食べられる量に驚き、男に付いていくことにした。男の口元がほんの僅かに薄気味悪く笑ったことにインデックスは気づかなかった。 「俺はナワル。ナワル・ラディだ。以後お見知りおきを」 ナワルは慇懃無礼という具合にインデックスに自己紹介をする。 「オムレツを沢山食べさせてがくれるっていうから来てみれば……何でなにもないんだよ?」 インデックスはオムレツをたらふく食わせてやるというナワルの言葉に釣られてこの廃工場に来た。しかし 見渡す限り食べ物などありそうもない。 「食べ物……ね。”食べれる物”は何も食料だけじゃないことを知っていたかな?それに胃の中に食料を 送り込むだけが”食事なんて言わないんだがねぇ……」 「じゃあ胃の中に食べ物を送り込む以外の食事って何なんだよ?」 インデックスは興味深そうにナワルに質問する。 「それは……」 「ぎ!?」 ナワルはインデックスの細い首を驚異的な握力で掴みあげる 「相手の”苦痛”を喰らうことさ」 ナワルの顔は先程のおどけた時とは別人のように冷酷無比な殺人鬼のそれへと変貌していた。 「が……ぐ?、苦じい……」 ナワルは凶悪な笑みを浮かべてインデックスを自分の頭の高さまで持ち上げる。 インデックスはナワルの残忍な眼光を見て身震いした。この男の目は完全に正気ではない。人を苦しめること、傷つけること、殺すことに喜びを感じているような目だ。その目を合わせているだけでも全身から汗が流れ出してくる。 「貴様の五体をバラして十字教会本部に送りつけてやろう。十万三千冊の魔道書の記憶などあのお方は不要だとさ。抵抗するならしてみろ。俺のメモリの力で貴様の自衛手段などいかに脆いか証明してやる。おっと・・・手足の指の骨を一本づつへし折るという手もあるな・・。どの道貴様は楽に殺しはしない」 「な……んで……ごんな……こと」 「なんで?貴様等十字教の連中が我らムスリムにしてきたことを少しは思い出したらどうだ?償いという名の地獄を見せてやる」 ナワリに首を絞められつつも、辛うじて質問をしているインデックスに、ナワリはあざけ笑うように言う。 「もうやめろ!ナワル!」 怒声が廃工場内に響く。 「誰だ!?」 ナワルはインデックスから手を離す。 「げ……、げほっ!げほっ!」 インデックスはナワルによほど強く首を絞められたのか、激しく咳払いをする。 「お前は……、翔太郎じゃないか。また俺を止めに来たのか?」 翔太郎はバットショットでナワルとインデックスの姿を捉え、カリールとの待ち合わせを後回しにし、廃工場に急行したのだ。 ナワルはまたかという顔で翔太郎を見る。この前逃げたのは常連客であり、顔馴染みの翔太郎を傷つけたくなかったからだ。ナワル自身、十字教徒、及びそれに連なる者には容赦はしないが、それ以外の人間に対しては基本的に傷つけるつもりはない。 「よせ……、お前とは戦いたくはない。これは俺自身の聖戦(ジハード)だ」 「戦いたくないだと?十五人もの人間を殺した奴の台詞とは思えねえな!」 翔太郎は二日前、ナワリがまだ少女と言っていい年齢の十字教のシスターを殺す所を目撃している。あの時のナワリの目は完全に狂人のそれだった。今更お前とは戦いたくないなどという言葉に翔太郎は怒りを露にする。 「君は早くこの場から逃げろ!」 翔太郎は蹲っているインデックスにこの場から逃げるように警告する。 「……う、うん」 インデックスは翔太郎の言葉に従い、おぼつかない足取りで、ナワルの傍から離れ、廃工場を出る。 ナワルはインデックスを捕まえるでもなく、黙ってインデックスが立ち去るのを眺めていた。 「どうした?あの子を殺すんじゃないのか?」 「十字教の信者など山ほどいる。別にあの小娘でなければいけないなどということはない。どうしても戦うというのであらば望み通り相手になってやる!」 ナワルは啖呵を切り、ガイアメモリを取り出す。 『ジャッカル!』 そのメモリを自分の右腕に嵌めていた黒い皮の手袋を外し、手に刻まれた生体コネクタにメモリを差し込む。 ナワルの身体は変貌を遂げ、漆黒の身体となり、顔はエジプト神話のアヌビス神に酷似していた。 「いくぜ、フィリップ!」 「わかったよ翔太郎」 翔太郎、フィリップもメモリを取り出す。 『サイクロン!』 『ジョーカー!』 翔太郎、フィリップは自分の腰に巻いてあるWドライバーにメモリを差し込む。 『サイクロン・ジョーカー!』 右半身は緑色、左半身は黒色の装甲を纏った仮面ライダーWに変身する。 「いくよ、翔太郎」 「おう!」 ◇ 第7学区内の常盤大中学の制服を着た女学生が勢いよく自動販売機を蹴り上げて、出てきたジュースを飲み干す。 その女学生こそ学園都市でも七人しかいないレベル5の能力者である御坂美琴であった。美琴の能力は電撃使いである。美琴が操る電撃が強力無比であることから美琴は「常盤台の超電磁砲(レールガン)」という異名を持っていた 「あ~、このジュースにはゲコ太グッズが入ってなかった」 美琴の通う常盤台中学はいわゆるお嬢様学校であるのだが、当の美琴本人はお世辞にも言動はお嬢様とは言い難く、竹を割ったような性格であった。しかしその性格故か生徒間での人気は高いようである。しかし美琴も年頃の女の子、ファンシーグッズに目がないなどの少女らしさも垣間見せる。 「全く……、お姉さまったらまたそのようなはしたない真似を……」 美琴の行動を呆れながら見ているのは美琴の後輩で、風紀委員(ジャッジメント)である白井黒子であった。 「誰か~!そのひったくりを捕まえて~!!」 「あら?」 「え?何?」 黒子と美琴は声の方向に目をやると、スキルアウトらしい不良が女子学生のカバンをひったくり、逃げている様子が飛び込んできた。 「よし!私に任せ……、ん?」 美琴が電撃で、不良の足を止めようとすると、不良の前にスカーフを被った少女が立ち塞がる。 「あぁん!?何だテメェ!」 年齢は美琴、黒子と大差はなさそうな少女はアラブ系の顔立ちで、髪の毛を隠す形でスカーフを被っていた。褐色の肌がにあう美しい少女だ。 「あの人に返してあげなさい。でないと痛い目見るわよ」 少女は不良に臆することなく静かに言う。その言葉は静かながらもどこか凄みがあった。 「うぅ……、どけぇ!!」 不良はポケットからバタフライナイフを取り出し、少女に切りかかる。 「は!」 少女は不良のナイフを持っていた手を捻り上げ、小手捻りの要領で、不良を地面に叩きつける。 「言ったでしょ……、痛い目見るって」 「す……、凄い」 少女の活躍を見ていた美琴はその余りの華麗さと早業に呆然と見とれていた。 「これこれ、ジャスミン、手荒なことはやめなさい」 ジャスミンを注意する年老いた声が聞こえた。 声の主は、アラブ系で、ムスリム教でも高位に位置する導師の服を着た、杖を持ち、髭を蓄えた壮年の男性でった。 「お養父さま……」 ジャスミンは導師服の男に駆け寄る。 「全く……、あんな危ない行為をして……。私に任せておけばあの男も痛い目にあわずに済んだものを」 「お養父さま、お困りの人がいたら救い出すのが私達ムスリム教の信じる教えでは?」 何やら二人で些細な言い争いを始めている。 「あ……、あの……!ありがとうございました!」 不良にカバンをひったくられた女学生はジャスミンに礼を言う。 「いえ、いいのよ。貴方も怪我はなかった?」 ジャスミンは物腰柔らかな口調で女学生を気遣う。 女学生は礼を言うと、二人に見送られながら帰って行く。 「おお、そこの娘さん達」 導師服の男が美琴と黒子の方に近づいてくる。 「君達は常盤台中学の学生さんかね?」 温和な表情を浮かべて導師服の男が話しかけてくる。 「え、ええ……」 「実はわしの養女であるこのジャスミンが常盤台中学に留学生として入ることになったのでな。君達に挨拶しておこうかと思っての」 「え?この人が常盤台に?」 美琴は目の前で華麗な活躍をしたこの娘が常盤台に入学することを聞き、少々戸惑った様子だった。 「ジャスミンよ。よろしくね」 ジャスミンはそう言うと、美琴と、黒子に握手する。 「この方は私の養父で、タハール導師様です」 「タ、タハール導師!?」 ジャスミンの言葉を聞き、黒子は仰天した。タハール導師といえば、サウジアラビアの大富豪にして、世界でも五本の指に入る程の 資産家なのだ。 「タハール導師様、せっかくですからわたくし達ががこのジャスミンさんに第7学区内の案内をして差し上げますわ」 黒子は目の前の世界有数の大富豪に気に入られたいようだ。 「おぉ、それは助かる。ジャスミンや、この娘さん達と上手くやるのだよ?」 「ええ、お養父さま」 美琴と黒子はその時ジャスミンとタハール導師が口元で薄く笑ったことに気づいていなかった。 ◇ 廃工場では激闘が続いていた。 ジャッカル・ドーパントに変身したナワルの戦闘力は高く、Wに変身した翔太郎とフィリップを苦しめていた。 「翔太郎、奴の動きは素早い。サイクロン・トリガーで行こう」 「よし!」 『サイクロン!』 『トリガー!』 射撃戦士、サイクロン・トリガーに変身し、ナワルに連続射撃を浴びせる。 サイクロン・トリガーとはトリガーマグナムに風属性の力を込めての速射戦を得意とする。トリガーメモリの出力が高いため、サイクロンメモリが押され気味でバランスは良くなく、弾の威力が低めで精密射撃にも適してないが、 連射と風による拡散効果で、より広い範囲の狙撃が可能な形態だ。 「ちぃ!調子に乗るな!」 銃撃を浴び続けたらやばいと感じたナワルは、優れた動体視力で、サイクロン・トリガーの射撃を華麗に避ける。 「は、早い!」 「こういう早い奴ってのは捕まえるのが一番だ!」 『ルナ!』 『メタル!』 ルナ・メタルに変身し、ルナの力で軟化したメタルシャフトを鞭のようにして、ナワルを縛り付ける。 ルナ・メタルとはルナの幻想の力をメタルシャフトに込め、シャフト本体をムチのようにしなやかかつ自在に操り、敵を拘束したり、投げ飛ばしたりなどのトリッキーかつ豪快な技を使うことが可能な形態だ。 「ぐぅ!」 メタルシャフトに巻きつかれたナワルはありったけの力で足掻く。 「大人しくしろナワル!」 翔太郎はメタルシャフトに縛られたナワルを自分の手前まで引き寄せる。 「生憎だが、まだ俺は捕まるわけにはいかん!」 ナワルは口から光弾を発射し、Wに当てる。 「うわぁ!」 Wはナワルの光弾を受けて後ろに吹っ飛ぶ。 メタルシャフトの拘束が緩んだのを見計らい、ナワルは脱出し、廃工場の外に飛び出す。 「翔太郎!ナワルが逃げる!」 「待て!」 しかしナワルは素早く、廃工場の外に出たが、もうナワルの姿はなかった。 「ちきしょう……、また逃げられたぜ」 翔太郎は二度もナワルを取り逃がしたことを悔しがる。 「仕方ねぇ、フィリップ、俺はカリールとの待ち合わせの場所に行く」 「わかった」 翔太郎は変身を解除し、カリールとの待ち合わせの場所に向かった。 ◇ 「しかし宗教対立かぁ……、まさか十字教系以外の宗教もこの街に入り込むとはね」 当麻は自分のマンションのエレベーターで教会襲撃のプリントを眺めていた。 「そんな争い事をこれ以上増やしてたまるかよ……!」 当麻は不毛な争いを一刻も早く終わらせようと考える。 「ただいまー、今帰ったぞインデックス」 当麻は部屋は電気を付けておらず、インデックスはまだ帰っていないのかと思った。 「と……、とうまぁ……」 自分の部屋から消え入りそうな声で当麻に話しかけてくる声……、間違いないインデックスだ。 「どこにいる?インデックス!?」 これはただ事ではなと思った、当麻は急いで自分の部屋に入る。 インデックスが布団の毛布を被って、床に蹲っていた。 「どうした?インデックス?」 「とうま……」 インデックスの目は涙が滲んでいた。ナワリに首を絞められた恐怖が忘れられないのだ。 「ど、どうしたんだ?インデックス!?」 「今日……、襲われたんだよ……、ムスリムに……」 ◇ 「ここが学園都市か……、風都に似てどこかきな臭い街だ」 学園都市に入ってきた赤い革ジャンの男は風都警察署超常犯罪捜査課課長の照井竜だ。 照井もまた、ナワリを追ってこの学園都市に入ってきた。 「今回は真倉を署に置いておいて正解だったな……」 この学園都市は風都以上に危険な街だということを予感していた。それを踏まえ、今回は一人で乗り込んだのだ。 「左の奴も来ているという情報があったが……、俺は俺のやり方でやるか。ここは風都じゃないしな」 以前、翔太郎と誤解から戦った際にも風都のルールに従うということで和解した。しかしこの学園都市になれば話は 別だ。ここで思い切り自分流の捜査ができるのだ。 「まずはこの学区から調べるか」 照井は学園都市の第7地区へと足を運んだ。 「貴方、風都署の刑事さん?」 「そうだ。お前達は?」 「風紀委員(ジャッジメント)ですの」 照井が第7地区で調査を進めていると、照井の前に立ち塞がった二人の女学生がいた。 常盤台の超電磁砲(レールガン)御坂美琴と、風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子だ。 「照井竜、貴方を連続十字教会殺人の犯人として拘束します!」 「何……?」 照井はわけがわからなかった。自分が教会襲撃の犯人を追う為に学園都市に入ることを許可されたのだ。 捜査をしているのに風紀委員(ジャッジメント)に捜査妨害をされ、あまつさえ犯人扱いとは。 「一体どういうつもりだ?」 「私達は目の前にいる犯人を捕まえるだけ……、その事がなにか?貴方、自分が何をしたか胸に手を当てて考えて 下さらないかしら?貴方がわざわざわたくし達に捕まりきた理由をお聞かせ願いませんか?」 照井はここまで学生にコケにされるとは思わなかった。ここは力づくでわからせるしかない。その時、美琴の電撃が照井の足元を走った。 「で、電撃!?」 「そ、あたしは常盤台の超電磁砲(レールガン)って呼ばれててね。素直に捕まったほうが身のためだよ?それからあんた、なんで教会を 襲ったわけ?」 「俺に……」 「はい?」 「俺に……質問を……するな!」 照井の怒りは頂点に達し、アクセルメモリを取り出す 『アクセル!』 照井はアクセルドライバーにアクセルメモリを差し込む。 「変……身!」 『アクセル!』 スロットルを捻り上げ、真紅の装甲を纏った仮面ライダーアクセルに変身する。 「さぁ、振り切るぜ」 「こいつ……、変身した!?」 「お姉さま、この方相手に手加減はいらないようですわね」 「来てみろ学生。風都の警察を怒らせたらどうなるか思い知らせてやる」 次回 ムスリムの矜持
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「■■■■■■■■■■■■」 声が聞こえて俺の頭は睡眠状態から覚醒する。 恐らく俺を起こそうとしていたのだろう、体をゆさゆさとゆさぶらるのも感じた。 勘弁してくれよ、今日は土曜日だぜ?お袋もチョットは空気を読んでくれたっていいんじゃないかねぇ…… いまいち機能しない自分の脳味噌から浮かぶ考えは一つ。 全てを無かったことにして二度寝することだ。 昨晩は深夜まで億泰とゲームやってたから睡眠時間は無いに等しい。 一応言っておくが俺たちは不良だが酒は飲んでねぇぞ!ただ夜更かししすぎて眠いだけだからな!! ……俺は誰に弁解してるんだ?やっぱり寝不足は恐ろしい。 寝起きに襲ってくるスタンド使いがいなかったのは本当にラッキーだったな。 この東方仗助、悪運だけは杜王町でもピカイチだz―――――― 「いい加減に起きやがれ!!!」 「ゲボォ!」 は……腹がヤベェ……… 無常にも俺の腹に突き刺さった蹴りは驚くほど正確に鳩尾に入った。 込み上げてくる吐き気と必死に戦う俺には進むべき二つの道がある。 1、吐く 2、我慢する 恐らく1を選んだらある程度は楽なはず。しかしそれを選ぶわけにはいかない。 起きないだけで蹴りを入れてくるほどお袋の機嫌はナナメなのだ。その上、布団にゲロッた日にゃ命の保障すら出来ない。 ならば2しかないのか? この苦しみに延々と耐え、その後腹に残る違和感と暫らくの間戦うのか? 俺はそんな事やりたくねぇ!! いや、待てよ……一つだけいい方法があるじゃねぇか! 布団にゲロッちまったらその後にクレイジー・ダイヤモンドで元に戻す。 ゲロは吐けるし、布団も汚れねぇ。 この世に完璧って言葉があるんなら今の計画の事を言うんじゃねぇか? 流石に寝巻きに付くのはいただけねぇな。それに今ので完全に目が覚めちまった。 んじゃあ起き上がって、起床一番にスッキリゲロ吐きと行きますか。 ガバァッッ ―――――――――? 俺は自室で寝てたよな? それに俺の家族はお袋だけだよな? 大体、寝たときはパジャマを着てたよな? 混乱する頭を何とか冷静に持ってゆこうとする。 よくよく考えたらクレイジーDで直したらゲロが口から胃に戻るじゃねぇか。 いや、まずゲロは多分直せねぇ。 しかも目の前にお袋がいるんだからスタンドはヤべーよなスタンドは。 考えれば考えるほど先ほどの考えにツッコミが湧いてくる。 ホントに寝起きって奴はヤベェ…… 自己嫌悪に陥りそうな思考を必死に振り払って、今最もやるべき事を必死に模索。 そして俺は自分の正面にいたボーイッシュな女の子に声をかけた。 「寝ゲロってホントにあるんすかね?」 ★ ☆ ★ その後、唐突に発せられた奇言に笑い転げる少女、坂本龍馬から必死に話を聞きだした仗助。 曰く、ここはJAPANという国の死国という所らしい。 しかし、彼の知っている四国はこんなに殺伐とした場所ではないはずだ。 詳しい話を聞こうと必死な仗助の様子に辟易しながらも丁寧に説明を続ける龍馬。 彼女の話が終わったとき、彼はその場にしゃがみ込んで頭を抱えだした。 本来彼は頭を使うタイプではない。 戦闘になれば話は別だが、普段の彼は能天気そのものだ。 しかし、彼女の話を聞いた後は必死に考察をせざるおえなかった。 『鬼や侍がひしめき合ってる世界』 彼女にその話を聞いたときは心臓が口から飛び出るかと思うほど驚いた。 吸血鬼の話は承太郎から聞いていたが、鬼の存在は全く聞いた事がない。 それに侍も彼にとっては時代劇の中だけの話だ。 突拍子の無い話をする龍馬を最初は疑っていた仗助。 だが、彼女の目は本気であった。 狂人の物ではなく、真の意味で本気の彼女の瞳。 殺人鬼、吉良吉影を追う過程で様々な人物と出会ってきた仗助には分かる。 彼女はまっすぐな人物であると。 だから仗助は龍馬を信じてみることにした。 そして彼は結論を出す。 『ここはパラレルワールドである』と。 初めはスタンド攻撃も視野に入れていた仗助だったが、その可能性は即座に否決された。 空間を作り出すような強大なスタンド使いが居る可能性は無に近い事と、 能力で仗助を移転させたとしても未だに攻撃の影すら見えない事。 短時間で考えた非常に穴だらけの推論であるが、ある程度的を得ているように思えた。 (でもよー、その場合俺を転移させたのはどいつになるんだ…… まさか神様が呼んだなんて事はありえねぇよな?) 次から次へと沸き起こる疑問。 しかし答えが出る事はない。 (まぁ、来れるなら帰れるって事だよな? しばらくは龍馬と一緒に行動して情報を集めるしかねっか…… アイツには異世界から来た事は伏せたほうがいいよな?流石に説明しにくいぜ 頭がパーな奴とは思われたくないしな) 結局、持ち前のポジティブさで絶対に帰れると断言した仗助であった。 ★ ☆ ★ 「でよ、譲ってのがスゲー馬鹿なんだ馬鹿。ウルトラ級の馬鹿」 「へ~お前にも“ジョウ”って仲間が居るんだな。 俺の知り合いにも一人承がいるぜ?その人はヤバイくらい頭が切れるがな」 「っていうかお前も仗じゃね?」 「あっ、そういえばそうだったな」 「おいおい、お前も実はかなり馬鹿なんじゃねぇのか~?」 龍馬達の住むキャラバンへと移動を続ける途中の他愛の無い会話。 先ほど仲良くなったとは思えないほどの意気投合っぷりだ。 「そういえば仗助……会ったときから気になってたんだがいいか?」 「ん?言ってみろよ」 「お前のその髪型ってさぁ――」 刹那、空気が凍りついた。 東方仗助におけるタブー中のタブー。 親友であろうと貶した者は全てぶちのめされる彼の聖域。 大げさに思われるだろうが、それが彼のリーゼントだ。 だが、そんな事を知る由もない龍馬は口を更に動かす。 「超クールだよな!俺も男だったらそんな髪型にしてみたかったぜ! どうやってセットしてんだよ?毎日大変じゃねぇのか!?」 矢継ぎ早にリーゼントを褒めちぎる龍馬。 一方の仗助であったが完全に放心状態であった。 今までの人生で髪型を貶された事は星の数ほどあれど、ほめられた事は一度も無い。 故に彼は龍馬の行った言葉を全く理解できなかったのだ。 「この……髪型がカッコイイ…?」 呆然とした様子で声を絞り出す。 「何度も言わせんなよ。超クールだって言ってんだろ」 龍馬が先ほどと同じ言葉を繰り返す。 しかし返事が返って来ない。 仗助は下を向いて肩を震わせているだけだ。 「おい?どうした仗助?」 ひょいと龍馬が下から覗き込むと彼は泣いていた。 キリマンジャロの雪解け水を飲んだときと言っても過言ではない。 「おでぼがみがだぼぼべべぐれだのヴァあんだがはしめべば」 「いや、落ち着いて話せよ……」 軽くどころかドン引きだ。 180センチもある体格のいい男が泣きじゃくる姿を見て不快にならないほうがオカシイ。 しばらく歩いて仗助が泣き止んだ頃に質問してみた。 「なんでさっきはあんなに泣いてたんだよ?」 「いや、俺の魂を認めてくれたのが初めてだったからついな……」 「魂?その髪型がか?」 「あぁ、少し長い昔話になっちまうが聞くか?」 龍馬が興味津々な様子で頷くのを確認した後、真っ赤な目を擦りながら彼女に語りかける仗助。 死にそうな熱を出した事。 病院へいこうと急ぐも、途中雪で完全に車が止まった事。 焦る母親の元へ一人の少年が現れた事。 その少年は自分のポリシーである学ランを犠牲にして自分たちを救ってくれた事。 彼の髪型がリーゼントだった事。 そして、自分はその人を尊敬してリーゼントになった事。 全てを話し終えたとき、目が真っ赤になっているのが一人から二人に増えた。 鼻を啜りながらいい話ジャンと繰り返す龍馬。 一々大げさに首を振ってそれを肯定する仗助。 泣きべそをかいた二人は仲良くキャラバンへの道を進んでいった。 ★ ☆ ★ どっちが先に気付いたかは分からない。 しかし、お互いに顔を見合わせたのは同時であった。 「これは……」 「血の匂いだな……間違いない!鬼共が襲撃してきやがったんだ!!」 焦燥を隠し切れない龍馬。 キャラバンにはゴンや譲、美禰といった猛者は揃っている。 だがそれでも全てのメンバーを守り切れるわけじゃない。 「クソッ!」 ゆっくりお喋りしながら帰っていた自分の不甲斐なさに思いっきり毒づく。 「仗助!お前は戦えるのか!?」 並んで走りながら、隣にいる仗助に叫んだ。 ガタイはいいから一般人よりは強いのでは?と期待をかける龍馬。 その期待は間違いではない。 短期間で数々の戦闘をこなした彼はちょっとした百戦錬磨である。 だから仗助は自信を持って答えた。 「バリバリいけるぜ!」 まだ見ぬ仲間を救うために全力でキャラバンへと走る仗助。 その目に宿るは黄金の意思。 学ランの襟から除くは誇り高き血統の紋章。 彼と龍馬は一陣の風となって乱戦状態となっているキャラバンへと突っこんでゆく。 鬼という異形を前にしても恐怖心は微塵も感じない。 己の半身であるスタンドを発現させて鬼をぶん殴るだけだ。 龍馬は初めて見るスタンドに驚いた様子を見せたがそれを気にしている場合ではない。 「闘いが終わったらそれが何か教えろよ!」 「おうよ!!」 言い終わった後に、二人は別々の方向へと切り込んでゆく。 「ドララララララララアアアッツ!!」 こうして、東方仗助の短い平穏の時は終わりを告げた。 to be continued…
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□ ジルの朝は早い。 花の世話をして、ラッピングし、見栄えよく整える。 繁盛して忙しい日々を過ごしているが、ジルは花の世話に手を抜いたことがない。 霧を吹きかけて、時計を見ると六時を示していた。 まだ店を開けるまで三時間もある。ジルは店の二階にある住まいへと階段をのぼった。 鼻に卵が焼けるいい匂いがする。焼かれたパンが並ぶ中、やはり母親は起きていたかと思った。 「母さん、おはよう」 「あ、ジル。お店の方はいいの?」 「準備は済ませたよ。後は店を開くだけさ」 それで、とジルは一室に視線を動かす。彼は心配そうにその部屋を見つめていた。 それもそうだ。なぜなら…………と思考したところで件の部屋から大きな音が聞こえてきた。 ジルは母親と顔を合わせ、部屋に駆け寄る。 「エールさん、どうしましたか? なにかあったんですか?」 ドンドン、と叩く。ジルは返ってくる返事を待った。 時間は少し遡る。 日が昇りカーテンの隙間から陽光がエールを照らした。 かわいらしい顔をしかめ、黒い瞳が周囲を見回す。 エールの知らない場所だ。ボーッとした頭では考えがまとまらない。 『起きたか』 「あ、モデルZ。おはよう……」 エールは寝ぼけ眼のまま、上半身を起こして、ズキッと腹部に鈍い痛みが走った。 エールは思わず「うっ!」と呻き、バランスを崩して派手に転ける。 ゴン、と大きい音を立てて額を地面に打った。 「いったぁぁぁ~~」 涙目になりながらも、エールは周囲を見回した。 自分がどこにいるのか把握しなければならないからだ。 すると、ドアからコンコン、とノックする音が聞こえてくる。 『エールさん、どうしましたか? なにかあったんですか?』 「ジル……さん?」 エールが声の主に驚いていると、ドアノブが回り焦った様子の少年が姿を見せた。 エールが地面に座り込み、赤くなっている額を抑えている姿を見届け、ジルが勢いよく駆け寄ってきた。 「どうかしましたか? なにか不都合でも……」 「あ、いえ。そういうんじゃないです……」 エールはジルに対応しながらも、昨日の出来事を少しづつ思い出してきた。 腹部に手当がされている。そこまで思考して、エールはジルに掴みかかった。 「って、ジルさん! エリファスさんは無事ですか?」 「母さん……? 母さんならピンピンしているよ。昨日は倒れているエールさんを母さんが見つけて大変でした。なにがあったんですか?」 エールはエリファスが無事である事実にホッと安堵する。だが今度は別の問題が起きてしまった。 ジルが心配そうに黒縁メガネの下の青い目をうるませて、エールを見つめている。 心底心配であったとわかる分だけ、エールは答えに詰まったのだ。 正直に言うわけにはいかない。そして、エールは嘘をつくのが苦手であった。 「こら、ジル。エールちゃんが困っているでしょう?」 優しい声に助けられ、エールは車椅子が部屋に入るのを目撃する。 最近の車椅子は高性能だが、身体を機械に置き換える現代では珍しい代物であった。 最初見たときは驚いたのだが、今では慣れたものである。 エールは笑顔を浮かべて、守ろうとした女性に視線を向けた。 ジルと同じく柔らかい金髪のショートカット。優しげな面差しに、凹凸の激しい女性なら羨ましがる身体。とてもジルを産んだとは思えない。 料理を作っていたのか、エプロンをかけている。車椅子を動かし、エリファスはエールへと微笑んでいる。 「お久しぶりです、エリファスさん」 「そんなにかしこまらなくてもいいわよ。今朝ごはん作っているからベッドで休んでいなさい。ジル、行くわよ」 「ちょっと、母さん……。まあ、エールさんも立ち上がるのが辛ければいってください。手助けにきますので」 ジルはそうエールに告げて、部屋を出て行く母親を追っていった。 パタン、とドアが閉まったときエールに疲れが押し寄せてくる。 『やっといったみたいだね』 そして、エールは恐る恐るモデルXの言葉に振り向いた。 明らかに背後に怒りのオーラが見える。普段はおとなしいモデルXが珍しく怒っていたのだ。 エールはゴクリと生唾を飲み込んだ。 『モデルX、今回の件は俺にも責任がある。だから……』 『モデルZは黙っていて。エール、確かにみんなを守りたい気持ちはわかるけど、今回は失敗だったよね?』 「う……ごめんなさい」 エールは頭を垂れて素直に謝る。激怒したモデルXは本人が頑固なのも相まって、タチが悪い。 嵐が過ぎるのを待つように身を縮めて耐えるしかなかった。 もっとも、今回は確かに反省点も多い。敵の能力を侮ったのと、これ以上犠牲者を出させないためとはいえ焦ったことだ。 死んだジルウェにも叱られるだろう。 モデルXがエールの短絡的な性格を責める中、ふと疑問を口に出す。 「……そういえば、アタシが負けた後はどうなったの?」 『話を逸らそうとしていない? まあ、いいけど。……それが妙なことにあのワームは攻撃を中止したんだ』 「攻撃を中止……?」 さすがにモデルXも説教を中止し、昨夜の違和感をエールへと報告してきた。 モデルXはまた本人を前にするしか確かめる手段はない、と結論をつける。 エールもその意見に同意だ。 「それじゃ、攻撃を中止してどうしたの?」 『どうもこうもない。ワームは姿を消して、エリファスが近づきエールの応急手当をした。変身は俺たちの判断で勝手に解いたから、バレてはいない。 すぐにジルも姿を見せ、エールをここに運んだ。近くに病院がなかったし妥当な判断だ』 「うわー、アタシって間抜けだ」 モデルZに改めて説明してもらうと、死にたくなってきた。 自分の作戦を推したプレリーや、しぶしぶながらも了解してくれた天道に申し訳がない。 『焚きつけたのは俺だ。責任は俺がとる』 モデルZが頼もしいことをいってくれるが、それならモデルXの今の怒りも受けて欲しいと思った。 しかし、そう都合よくはいかない。なぜなら、下手をすればジルもエリファスも死んでいた。 エールが自覚した瞬間、悪寒が背筋を昇る。エールの脳裏に懐かしい光景が浮かんだ。 ―― メットールをマスコットにした遊園地が炎によって赤い色に染め上がる。 ―― ヒトビトの悲鳴が上がり、人ごみの中, 小さなエールは母親の手を握っていた。 ―― イレギュラーの群れの銃弾で建物が破壊される。 ―― エールを安心させようと振り向いた母親の後ろに、イレギュラーが現れて……。 『エール?』 「モデルX……ごめん。ちょっとボーッとしていた」 『……調子も悪そうだし、今はここで切り上げよう。細かい打ち合わせは天道さんと合流してからだ』 「うん。まずはあの二人に挨拶して、プレリーたちに無事を知らせる」 『そうだね、それが一番だ』 モデルXの同意を得て、エールは立ち上がった。 もっともモデルXの怒りは解けていない。 いつもなら恐ろしい事態なのだが、今のエールには気になることがあった。 あの日の悪夢、すべての始まり。 セルパンを倒し、ジルウェに想いを託されて乗り越えたと思っていた。 もしかしたら自分で思っていたほど、自分は強くないのだろうか? エールは頭を振って不安を吹き払い、ドアノブに手をかけた。 □ 「よかったぁ……エールが無事で」 プレリーはエールからの連絡があった通信機を切って安堵する。 彼女の身を心配したプレリーだが、深夜にガーディアンの部隊を総動員するわけにはいかなかった。 ゆえにその日は捜索を天道だけに任せるしかなかったのだ。 「さっそく天道さんやみんなにも教えないと」 プレリーはさっそく通信機を手に、今も捜索活動を続ける数人の仲間へと連絡をとる。 エールの心配をして志願してくれたのだ。まずは彼らを安心させることから先だ。 プレリーは捜索隊のリーダーを、調査員と兼任する天道へコールを鳴らした。 こんがりと焼けた食パンとベーコンに目玉焼きが乗った皿が食卓に並ぶ。 手元にはバターが置かれており、新鮮なレタスに乗っかる半切りのトマトと、サラダもある。 エールが席についたのをエリファスは嬉しそうに微笑んで、話しかけてきた。 「さあ、どうぞ。召し上がれ」 「はい。いただきま~す」 ぐ~、とエールのお腹も主張しているため、遠慮なくいただくことにする。 傷はまだ痛むが、無視できるレベルだ。本能には抗えない、と無駄に哲学なことを考えてパンに手を付ける。 はむ、とバターを塗ったパンを噛みしめて、エールは生きている実感を味わった。 一口パンを噛みちぎると、余裕が出たのかエールは一つの事実に気づく。 お客さんで恩人ということもあり、かしこまった口調でエールは尋ねることにした。 「そういえばエリファスさん、ジルさんはどうしたんですか?」 「ジルなら店を開けているの。私はこんな足だし、ほとんどあの子に任せているわ。それよりエールちゃん?」 「はい?」 「今は仕事中じゃないし、楽にしていいのよ。その方が私もありがたいし」 エールはエリファスの言葉に数瞬だけ悩んだ。 もっとも、楽なほうを提案してくれるのはありがたい。 客仕事のため敬語は使えるのだが、エール本来の性格には合わなかった。 「……うん、ありがとう。それでアタシがなんであそこに倒れていたかは……」 「聞かない方がいいかしら? ならそうする」 「え? いいの?」 エリファスはエールに困ったような笑みを浮かべて、エプロンで手をふいた。 エールのために用意した牛乳を置きながら答える。 「そりゃあ、女の子があんなところで傷を負って倒れているもの。事情をきかせて欲しいわ」 「えーっと、ごめんなさい! さっきから謝ってばかりだけど、こればかりは話せないの!」 「そう、ならいいわ。ところで、連絡はついた?」 「ええ。ここに迎えに来るって」 「きっと心配していただろうから、謝らないとダメよ?」 「……はーい」 エールは天道が取り乱している姿を思い浮かべようとしたが、あの超然とした男が取り乱す姿が想像できなかった。 とはいえ、天道が探索チームの指揮をとったのだとプレリーはいう。 ものすごく迷惑をかけた自覚があるため、身を悶えさせたかった。てか、一人なら絶対悶えている。 エールが天道にあわせる顔がないと、パンを勢いよく齧った。 (よかった。エールさんは元気みたいだ) ジルは安堵して花束をラッピングする。母親から彼女が起きて、朝ごはんを食べたと聞いたのだ。 今はきっと二人でお茶をしているに違いない。エールを迎えに来るという人物がくるまで、彼女は母の相手をされるのだろう。 ジルは大口の注文があったため、運搬業者が来るのを待つ。 準備はすでに出来ていた。カラン、と音がして自動ドアの方へ視線をやる。 入ってきた整った顔立ちの男にジルは見ない人だ、と思って声をかける。 「いらっしゃいませ!」 「すまないが、客ではない。エールがここに居ると聞いて迎えに来た」 「ああ、そうですか。少しお待ちください。今呼んできますので」 「ぜひ頼む」 偉そうな態度にもジルは「おかしな人だ」程度にしか印象を抱かなかった。 ジルが上にいる母に、迎えが来たと内線電話で告げる。 すぐにでも降りてくる、と伝えると男は別の方向へ視線をやっていた。 「花が好きなんですか?」 「まあ、そこそこにな。ところで、あの大量の青いバラは?」 「大量に欲しいと注文がありましたので、用意したんです」 そうか、とだけつぶやいて男が沈黙した。 ジルが笑顔を向けて、眼鏡のフレームの位置を直しながら話しかけようとしたとき、二階より人が降りてくる気配を感じる。 エールが恐る恐るといった様子で姿を見せ、天道の姿を見たと同時に頭を垂れる。 「ごめんなさい! 天道、つい先走って……」 「そうだな、おかげで皆に心配をかけた。だが…………」 天道と呼ばれた男の表情が柔らかくなったのを、ジルは見過ごさなかった。 ほんの刹那の間だけ覗かせた表情だったため、頭を下げているエールには見えなかっただろう。 彼が見せた親愛の情にジルは頬が緩んだ。だからこそ、次の言葉はジルにとっては意外でなかった。 「無事でよかった。心配したぞ」 エールがキョトン、と天道を見つめている。 それに対し、まるで兄のように天道はエールを迎えた。 □ 天道に連れられて、エールを探索に来たガーディアンの仲間たちのもとへ向かっていく。 川が流れ、橋を通るときにエールは天道に声をかけた。 「ねぇ、天道」 「どうした?」 「……天道はどうして、アタシを助けてくれるの?」 「簡単だ。おばあちゃんが言っていた。模倣となるべき人間は、すべての兄であるべきだと。 俺は生まれたときからそういう宿命を背負っている。そういうことだ」 「いや、どういうことよ」 エールが相変わらずの天道に呆れる。もっとも、彼の行動には感謝してもしたりないが。 天道が言う言葉、特におばあちゃん絡みものは本気であることに気づいている。 だからこそ、不思議でしょうがない。彼はなぜエールに対し、肉親のような感情を抱いてくれるのか。 そうエールが思ったとき、発砲音が響いて天道に抱えられた。 身体浮いた、と思ったときには天道は向きを変え、敵と対峙している。 エールも降りて、相手を睨みつけた。 「さすがに反応がいい……それに、ようやくこいつを使える相手に出会えたか」 役者のように整った顔立ちの男が、紫色の剣の刃に舌を這わせていた。 左手に握るのはサソリ型のデバイス。おそらく新しいゼクターであろう。 「ワームか」 「その通り! 仮面ライダー同士の戦いを始めましょう。天道総司!」 男はそう言って剣とサソリ型デバイスを合体させる。 『Hen-shin』の電子音と共に、男を六角形の金属片が包んで見覚えのある姿へと変えた。 赤紫の胴体部。各種にチューブが埋め込まれて、中を液体が通るのが見えた。 蠍の尾を模した頭頂部に、横一文字のバイザー。ドレイクやカブトとはまたデザインだが、仮面ライダーであることに間違いはなかった。 天道がいうには、すべてのゼクターはワームの手中にある。ならばこのワームが昨晩エールを襲ったのか。 エールは仮面ライダーに対抗するため、モデルXとドレイクゼクターを構えるが天道が抑える。 「エール、今は力を温存しておけ」 「…………わかった」 「やけに素直だな? いつもなら食ってかかるはずだが?」 「昨日のことを反省しているの! 人が下手に出たのにもう……」 「わかっている。変身」 エールが愚痴るのも構わず、天道がカブトへと変身した。 銀色の仮面ライダーと、赤紫の仮面ライダーが正面から睨み合う。 風が吹き、橋から小石が落ちる。水面が揺れると同時に二人は地面を蹴った。 『Cast off』 同時に奏でられた電子音と共に、二人の仮面ライダーの鎧がはじけた。 宙でぶつかり合うパーツの中、カブトは目の前のサソリを模した仮面ライダーを見つめる。 マスクドフォームのときとは違い、全身濃い紫の装甲。緑の二つの複眼。銀のベルト。 かつてサソリのマスクド・ライダーシステム、サソードの名を伝え聞いたことがある。 おそらくこのワームの前の使い手だが、剣の腕前は一流だったとのことだ。 目の前のワームの腕を見定めようとしたとき、サソリを模した頭部に光が宿り日本刀とほぼ同等のリーチの剣を振るわれる。 カブトは冷静にクナイガンの刃で受け止めて、後方へ跳躍した。 「逃がさん!」 サソードが逃げるカブトを追いかけて距離を離さない。 接近戦に長けるサソードが距離を保つのは当然の選択だ。 「舞え!」 流れるようにサソードの斬撃がカブトを襲う。 右から弧を描く刃の軌跡を上半身を倒して躱す。 サソードがすぐに剣を斬り返し、すくい上げるように左から逆袈裟に襲いかかってきた。 クナイガンで剣を弾き、刃が宙に浮いたのを確認する。 「甘い!」 サソードが狂ったように笑い、一旦刃をひいて突きを繰り出した。 速度が速すぎて避けきれない。カブトの頬に刃が走る。 ザッ、とようやくサソードから距離をとることに成功するが、削れた装甲より血が流れた。 どうやら斬られたらしい。 「天道!」 エールの心配する声が聞こえる。カブトはサソードに視線をやった。 「天道に攻撃が当たった? モデルX……」 『いや、まだその必要はないようだな』 「モデルZ。でも、始めて天道に……」 『皮一枚。それに、あの程度の剣技では天道に届かない』 モデルZにいわれて、エールは再び戦いを見る。サソードが地面を蹴って、大ぶりに剣を振るう。 カブトに刃が届きそうになった瞬間、カブトは一瞬でサソードの懐に潜り込んだ。 「なに!?」 サソードが叫ぶが、カブトは冷静にサソードの右手首に掌打を打ち込んだ。 サソードのバランスが崩れ、カブトは容赦なく脇腹に拳をめり込ませる。 骨が折れる鈍い音が響く。エールは痛さを想像して顔をしかめた。 「がはっ!」 「どうした? 俺が伝え聞いたサソードの足元にも及ばないぞ」 「ふざけ……ッ!」 サソードが怒るが、エールはそれは命取りだと判断する。 事実、サソードの突きは躱されて、カブトによって腕をつかまれ地面に背中を叩きつけられた。 「クソ……ライダースラッ……」 サソードはゼクターの尾を押し込もうとして、顔面を殴られて強制的に中断された。 エールは少しでもカブトが危ないと考えたことを恥じる。いつも以上に相手にならない。 (けど、どういうこと? あいつは昨日アタシを……) 『エール、他のゼクターだ。気をつけて!』 エールが疑問に持つが、答えを得る前にモデルXの言葉が思考を中断する。 モデルXとドレイクゼクターを用意して、すぐさまロックマンDXへと姿を変えた。 ドレイクゼクターの弾丸を吐き出し、乱入してきたゼクターを撃つが選けられる。 やがて影はカブトへ襲いかかり、カブトは大きく跳んで躱した。 サソードとカブトの距離が開いたとき、間に白い大きな影が現れる。 二メートル近くある鍛え抜かれた巨漢。白いスーツをまとい、白い帽子の下の鋭い瞳がカブトとエールに向けられる。 その瞬間わかった。目の前の男はただ者ではないと言うことを。 「お久し振りですね、天道総司」 「黄金のライダー……まさかここでも会うとはな」 白いスーツの男が青いバラを向けた。 大事そうにつまむ青いバラの花びらが、風に舞う。 「黒崎一誠、仮面ライダーコーカサスです。この世界の英雄、ロックマンZXの少女。以後お見知りおきを」 外見に似合わぬ丁寧な言葉が、エールには逆に恐ろしかった。 黒崎は後ろで無様に倒れているサソードに視線をやり、カブトと対峙する。 サソードにかける言葉は当然冷たいものとなった。 「いつまでそこに倒れているのですか? 天道総司は押さえてあげますから、さっさと逃げたらどうです? あの少女からは自力で逃げてください。そこまで面倒をみきれないので」 「くっ……」 サソードの悔し気な声に、エールが反応する。カブトに視線を送られて頷いた。 黒崎の脅威を計算に入れて、エールに任せるしかないのだ。ここでサソードを逃がすわけにはいかない。 サソードとエールがベルトのスイッチをスライドする。 「「クロックアップ」」 同じ響きが橋の上で唱えられた。風のように二人が姿をかき消す。 クロックアップの時間でハンデがあるが、あの程度の能力のサソードなら相手にもならない。 問題はやはり、目の前の男だ。 「ここにゼクトはない。それでもお前は戦うのか?」 「いったはずです。バラが見つめてくれるのはもっとも美しく、もっとも強いもの。 人間だろうがレプリロイドだろうがワームであろうが……ロックマンであろうが、支配者にふさわしければそれでいい」 「そうか、ならば戦うしかないな」 「もとよりそのつもり……」 黒崎が空手の型のような演舞を繰り出した。金色のカブトムシ型ゼクター、コーカサスゼクターが周囲を舞い踊る。 右手の銀のライダーブレスレットに、コーカサスゼクターが突き刺さった。 「変身!」 黒崎の巨体を六角形の金属片が包みこむ。 現れた金色のライダーを睨み、カブトは本気の構えをとった。 □ 「いい加減しつこい!」 サソードが剣を振りながら言い捨てた。エールは冷静に見極め、上半身を沈ませる。 頭部のヘルメットを剣がかすめて、無防備の腹部に銃弾を撃ち込んだ。 「ガハッ!」 サソードが地面を転がり、痛みに身悶えている。 モデルZのいったとおり、たいした相手ではない。 だとするとおかしい。昨日のワームはかなりの手練だった。 このサソードが、あのワームではありえない。 そう考えていると、クロックアップの時間が終わる。 サソードのクロックアップは、エールの与えたダメージでとっくに切れていた。 「一つ聞かせなさい。ここにアナタ以外のワームがいるの?」 「知らん……死ねぇ!」 懲りない奴だ、とエールは呆れて頭部に回し蹴りを叩き込む。 紫電一閃、サソードがビルの壁に背中を打ち付けた。 エールはもうこいつを倒そうと考え、ドレイクゼクターのヒッチスロットルを引く。 「これでおしま……」 「エールさん……?」 ドレイクゼクターの銃口を向けようとしたエールに、聞き覚えのある声が届いた。 後ろを振り向くとジルが青いバラの花束を抱えて立っている。 同時に『Clock up』の電子音が響いた。まずい。 「命が惜しければ動くな! キサマたちは近寄るんじゃない!」 サソードがジルの背後に回り、動きを拘束する。 ジルが現れたことに動揺して一瞬隙を作ったことを後悔した。 『なんともお約束な台詞だな』 「うるさい……くそっ! くそっ! どいつもこいつもバカにして……」 サソードががなりたてて、刃にエネルギーを充填し、斬撃を飛ばしてきた。 エネルギーの刃をエールが避けると、ヒステリックにサソードが叫ぶ。 「避けるな! こいつがどうなってもいいのか?」 「そんな……」 エールは悔しさに歯噛みする。ジルを助けなければならないが、このままではエールともども死んでしまう。 迷うエールに、サソードが追い討ちをかけた。 「変身を解け、ロックマン」 『駄目だ、エール。従ったところで、奴が約束を守る保証もない!』 モデルZが忠告するが、サソードヤイバーの刃がジルの喉にめり込む。 血が一筋を流れたのを見て、エールの脳裏に自分を安心させようとした母の姿が浮かんだ。 一度だけ唇を噛み締め、エールは変身を解いた。 「そうだ、それでいい。天道総司に受けた屈辱、その身体で支払ってもらうぞ!」 サソードが嗜虐心をむき出しにして、刃を振るう。 エールの右腕が浅く切られ、血が流れた。嬲る気であろう。 「いい子だ、微動だにしないとはな」 サソードは笑い、今度はエールの右肩から血が噴出す。 エールは反射的に右目をつぶり、痛みを堪えた。 どうにかして人質を放さないと、手出しができない。 ドレイクゼクターが姿を消しているのだ。反撃の機会を伺う。エールの目は死んでいなかった。 「さあて……次はどこを切ろうか。かわいい顔だけは最後にして…………」 だが、サソードの言葉は最後まで紡がれない。 サソードがよろめき、後ろに下がる。エールは眼前の光景に困惑の表情を浮かべた。 「やれやれ。逃げるだけなら、大人しく人質になってあげようと思っていたのに」 その声はエールや母親へかけていた優しさの感情が微塵も含まれていない。 まるでゴミを見るかのように、ジルはサソードを見下している。 ジルの右手が昨夜襲ってきたワームのそれに変わり、サソードの腹部を貫いていた。 「サソードヤイバーは返してもらう。君たちに一度返したものだが、君に使われたくない」 ジルは吐き捨てて、彼の全身が水面の如く波打った。 同時に姿が変わり、スズムシを模したベルクリケタスワームへとなる。 エールをくだした強敵の姿だ。 「う……そ…………?」 ペルクリケタスワームが腕を引き抜き、サソードの変身が解ける。 同時に緑の爆発が上がり、名も知らぬワームを背にエールと対峙した。 『エール、変身しろ!』 モデルZが叫ぶが、エールは動かない。 まるで悪夢の中にいるような錯覚を受けて、エールは声が出せなかった。 右腕の傷の痛みに流れる血。そして硝煙の匂いが、ただ現実であるとエールに主張を続けた。 To be continued……